メスしかいない魚……生殖様式はどう進化した?

多様な生殖様式、共通する仕組み
生物の生殖様式は実に多様です。例えば魚類には、オスとメスが存在する種だけでなく、メスだけで繁殖する種も存在します。一般に有性生殖では、卵や精子といった配偶子を作る際にゲノムサイズが半分になります(減数分裂)。しかし、メスだけで繁殖する種では、ゲノムサイズを維持したまま卵が形成されます。そのため、こうした種の中には、子が親のクローンになるものもいます。
一方、生殖様式が大きく異なっても、卵や精子を作る分子レベルの仕組みは進化の過程で強く保存され、多くの種に共通しています。生殖様式は変化しているのに、なぜその基盤となる仕組みは維持されているのでしょうか。
「分子のまとまり」が担う役割
この矛盾を説明するのが「機能モジュール」という独立した分子のまとまりです。例えば、「ゲノムを半分にする」「卵を大きく成長させる」「精子に運動能を持たせる」といった、配偶子形成過程のさまざまなイベントは、それぞれ異なる機能モジュールが担うと考えられます。仮に減数分裂を担うモジュールの機能が失われても、ほかのモジュールが維持されていれば、卵を作る仕組みそのものは保たれ、メスだけで繁殖する生殖様式へ移行できる可能性があるのです。
メスだけで繁殖する魚として知られるアマゾンモーリーには、オスとメスが存在する祖先系統が現存しています。そこで、これらの種を比較して減数分裂をスキップさせる因子を明らかにし、さらには他種でも同様の進化過程を再現できるかの検証が待たれています。
性染色体サイクルのメカニズムは?
哺乳類のY染色体は退化していき、やがて常染色体と入れ替わって新しい性染色体ができると考えられています(性染色体サイクル)。一方、魚類では性染色体の入れ替わりが頻繁に起こることが知られています。しかし、性染色体が変わっても配偶子形成の仕組みはしっかり保存されています。このことから、配偶子形成を支える機能モジュールの解明は、性染色体サイクルが成立する仕組みの理解につながると期待されます。
参考資料
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