大量のデータに埋もれた「宝」をAIで探す 機械学習の発展形は

大量のデータに埋もれた「宝」をAIで探す 機械学習の発展形は

希少なデータをいかに見つけるか

膨大な量のデータが存在しても、その中で本当に重要な情報はごくわずかしか含まれていないことがあります。例えば、素粒子実験では何十億もの観測データの中に、科学の常識を変えるような発見につながる現象がわずかに現れます。また、企業の倒産や難病の発症は、発生頻度は低いものの、社会や患者への影響は非常に大きい出来事です。
こうした「数は少ないが価値は大きい」データをいかに見つけ出すかは、さまざまな分野に共通する課題です。データの数と価値が釣り合わないことから「データの不均衡」と呼ばれます。

AIは多数派しか覚えられない?

不均衡なデータをそのままAIに学習させると、AIは多数派のパターンしか覚えられず、少数派の重要なサインを見落としてしまいます。そこで、少数派のデータを人工的に増やして学習させる手法が注目されています。画像生成AIにも使われている「拡散モデル」という技術を応用し、実際のデータによく似た新たなデータを複数作り出します。例えば、倒産した企業の財務情報などについて、特徴を保ちながら学習用のデータを人工的に増やし、AIに偏りなく学習させることで、少数派のデータも見つけやすくなるのです。

倒産や難病の兆候を発見

どの業界も「データの不均衡」への対処が求められる点は共通していても、データの活用のしやすさは分野によって異なります。大量かつ正確なデータが蓄積・公開されている企業分析の分野では、企業の財務データを用いた信用格付けや倒産リスク予測のモデルが開発されています。数年後の状態を予測するモデルへの発展が期待されています。
今後、医療データの活用が容易になれば、患者数が少なくデータが集めにくい、希少な病気の早期発見や原因解明に役立てることもできます。また、科学実験や自然観察からの新たな発見にも生かせるかもしれません。さまざまに活用できる機械学習の研究は、これからの社会や科学の発展を支える重要な技術を生み出す取り組みといえるでしょう。

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平成国際大学 情報デザイン学部  助教 小船 幹生 先生

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統計科学、知能情報学

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メッセージ

受験では、「答えのある問題にいかに正解するか」を徹底的に鍛えられます。それは大切な訓練ですが、実際の世界や研究の場に出ると、答えのない問いばかりに直面します。自分で考え、試行錯誤しながら最適解を見つけていくしかありませんが、それこそが本当の意味での学びです。受験勉強は「そのための準備」ととらえてください。誰かに答えを教えてもらうのではなく、自分の内側から湧き出る興味や疑問を大切に育てましょう。答えのない世界を面白がれる力が、きっとあなたの武器になります。

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平成国際大学は、埼玉県加須市にキャンパスを置き、法学部・スポーツ健康学部・情報デザイン学部の3学部を擁する総合大学です。令和8年度に開設30周年を迎えました。「人間是宝」を教育理念として、一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、豊かな人間性と専門的知識・技能を兼ね備え、地域社会と国際社会の発展に貢献できる実践的人材の育成を目指しています。2026年4月には新たに情報デザイン学部を開設し、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代を担う人材育成に力を入れています。