VRを使った教育で、子どもに向き合う小児看護人材を育てる

リアリティのある演習が難しい小児看護
患者と向き合える看護師になるには、実習などの実践的な学びの積み重ねが大切です。しかし、実習だからといって患者に我慢を強いてよいわけではありません。しっかりと能力を身につけてから実習に臨む必要があります。
実習前に学内でおこなう演習では、健康な人に模擬患者を演じてもらったり、血圧や体温を測れる高性能なシミュレーター(人形)を利用したりする方法があります。しかし小児看護の場合、子どもに患者を演じてもらうのは簡単ではありません。シミュレーターを用意する場合も、乳児、幼児、学童と、さまざまな種類がたくさん必要です。人形は動かないので測定はスムーズにできるのですが、実習では子どもに泣いて嫌がられることも多く、そうはいきません。そこで、VRを使って小児看護を学ぶ試みが始まっています。
VRで主体的な学びを引き出す
VRは、臨場感や没入感のある体験ができるのが特徴です。目の前に広がる360度の仮想空間の中では自分で見たいところを観察できるので、学生の主体的な学びを引き出します。看護師の後ろを影のようについて学ぶシャドウイングという学習方法のVRでは、ポイントとなる場面で「〇〇の場合にどうしますか?」という質問が表示されます。学生は臨場感のある体験を通して、ゲームのように実践的な看護を学んでいきます。
改善点をデータで確認
VRの利用により、「学生がどこを注視していたのか」「何を見落としたのか」という、これまでは対話や看護記録などから推測するしかなかった情報を学習履歴やヒートマップなどのデータで確認できるようになりました。1回目の体験で見落としたポイントを2回目の体験で再確認するなど、個別最適化した学習ができます。
VRは決して万能ではなく、実際に人と接することでしか学べないこともたくさんありますが、看護教育を充実させるツールの一つとなるでしょう。先端技術を教育に生かすことが、学生を伸ばし、より良い看護と患者の安心・安全へつながっていくはずです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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千里金蘭大学 看護学部 看護学科 教授 合田 友美 先生
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