講義No.16558 看護学

VRを使った教育で、子どもに向き合う小児看護人材を育てる

VRを使った教育で、子どもに向き合う小児看護人材を育てる

リアリティのある演習が難しい小児看護

患者と向き合える看護師になるには、実習などの実践的な学びの積み重ねが大切です。しかし、実習だからといって患者に我慢を強いてよいわけではありません。しっかりと能力を身につけてから実習に臨む必要があります。
実習前に学内でおこなう演習では、健康な人に模擬患者を演じてもらったり、血圧や体温を測れる高性能なシミュレーター(人形)を利用したりする方法があります。しかし小児看護の場合、子どもに患者を演じてもらうのは簡単ではありません。シミュレーターを用意する場合も、乳児、幼児、学童と、さまざまな種類がたくさん必要です。人形は動かないので測定はスムーズにできるのですが、実習では子どもに泣いて嫌がられることも多く、そうはいきません。そこで、VRを使って小児看護を学ぶ試みが始まっています。

VRで主体的な学びを引き出す

VRは、臨場感や没入感のある体験ができるのが特徴です。目の前に広がる360度の仮想空間の中では自分で見たいところを観察できるので、学生の主体的な学びを引き出します。看護師の後ろを影のようについて学ぶシャドウイングという学習方法のVRでは、ポイントとなる場面で「〇〇の場合にどうしますか?」という質問が表示されます。学生は臨場感のある体験を通して、ゲームのように実践的な看護を学んでいきます。

改善点をデータで確認

VRの利用により、「学生がどこを注視していたのか」「何を見落としたのか」という、これまでは対話や看護記録などから推測するしかなかった情報を学習履歴やヒートマップなどのデータで確認できるようになりました。1回目の体験で見落としたポイントを2回目の体験で再確認するなど、個別最適化した学習ができます。
VRは決して万能ではなく、実際に人と接することでしか学べないこともたくさんありますが、看護教育を充実させるツールの一つとなるでしょう。先端技術を教育に生かすことが、学生を伸ばし、より良い看護と患者の安心・安全へつながっていくはずです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

千里金蘭大学 看護学部 看護学科 教授 合田 友美 先生

千里金蘭大学 看護学部 看護学科 教授 合田 友美 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

小児看護学、生涯発達看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

患者さんの小さなサインに気づいて一歩先のケアができたときの喜びが私の支えです。看護教員になってから、「教育」をしっかり学ぶために大学院に進みました。そこで教育が社会をつくり、社会が教育をつくるのだと教わって、教育に限界を設けないという覚悟や、挑戦する心が身についたと思います。VRの研究を始めたのは、とあるゲームの体験会がきっかけでした。どんな経験も無駄ではなく、いろいろなことが思いがけずつながって今があります。あなたもぜひ勇気を出して、いろいろなことに挑戦してください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

千里金蘭大学に関心を持ったあなたは

千里金蘭大学は、看護学部・栄養学部・教育学部の3学部3学科を擁し、専門性と豊かな人間性を兼ね備えた人材の育成を目指す大学です。
少人数教育を特色とし、一人一人に寄り添うきめ細かな指導と実践的な学びを通して、各分野で活躍できる専門職業人を育成しています。また、資格取得を支える充実したカリキュラムや実習、学修・就職支援、地域社会との連携を通じて、学生の可能性を伸ばし、未来を切り拓く力を育む教育を展開しています。さらに、創立以来培ってきた女子教育の伝統を基盤に、社会に貢献できる人材を育成しています。