
東北大×JAMSTEC 国際多分野チームの挑戦
気候変動は、海水温上昇、海洋酸性化、生物多様性の損失など、海洋と私たちの暮らしへ大きな影響を及ぼしています。変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC)は、複雑な海洋環境と生態系変動を物理学・生態学・数理科学の融合によって解明し、予測することをめざすWPI初の複数ホスト型拠点(注)です。東北大学の教育・研究基盤と、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の観測船やスーパーコンピュータなど研究設備を組み合わせ、専門家たちが分野の垣根を超えて共同研究を展開します。ハワイ大学マノア校を海外拠点とするなど、広い国際ネットワークによる高等教育も促進します。WPI‑AIMECで研究を行うには、東北大学大学院にて理学・環境・農学・生命科学・情報科学・工学のいずれかの研究科に進学することが望まれます。環境・地球科学国際共同大学院プログラム(GP‑EES)に認定されれば、地球科学の幅広い理解と国際的な研究力を育成するための教育・経済的支援を受けられます。
注:複数ホスト型拠点(拠点の設置・運営のための支援・設備を行う大学・機関が複数あるWPI拠点)
海洋観測によるビッグデータを活用して生態系変動の予測、
社会との“共創”へ
気候変動によって宮城の海で採れるサンマが減り、イセエビが増えた―こんなニュースを聞いたことはありませんか。環境変化が海洋生態系へおよぼす実際の影響を知るには、海洋における物理・化学と生物現象の多面性を理解することが重要です。WPI-AIMECは自動で水温や塩分を観測できるロボット「アルゴフロート」(2026年5月時点で約4,400台が世界で稼働)の観測網を強化するプロジェクトに参画し、pHや溶存酸素濃度など、生物と関わりの深い指標にも観測を拡げています。また、水中のDNAからそこに存在する生物種を推定できる「環境DNA」の技術を用いて、市民や企業と連携しながら東北大学が運営してきた「ANEMONE DB(アネモネデータベース)」(日本沿岸や河川など約1,000地点で観測。2022年10月時点)を活用し、海洋における生物多様性の情報を「見える化」します。集めたビッグデータをAI・機械学習によって解析し物理や化学の観測データと統合することで、地域から全球レベルまでの海洋生態系モデルの精緻化と予測をめざします。得られた知見をもとに市民の方や水産業界、行政など社会の皆さんと対話しながら、持続可能な地球環境と人間社会に向けた共創へ貢献していきます。
主任研究者から高校生に向けたメッセージ

高校物理の授業でコリオリ力を学習した際、大学では物理の中に地球物理があって、地球上の風を物理の法則で表すと聞きました。物理学への憧れと、環境問題への関心があった私は、その話に大変興味を持ち、地球物理学を志すようになりました。そして、気候変動の主役は海との言葉で海洋物理学の研究室に入り、以後、対象を海洋環境に広げつつ研究を続けています。海洋環境の複雑な変動をシンプルな言葉(原理)で理解できることが、楽しいです。皆さんも、ぜひ、知りたいことを見つけてください。






