乗り継ぎの隙間時間に小さな旅を! トランジットツアーの可能性

空港から外へ
飛行機の乗り継ぎ時間を空港で過ごすのではなく、空港から外に出て観光する「トランジットツアー」が注目されてきています。隙間時間の有効な使い方として、ヨーロッパを中心に海外では定着していますが、日本では比較的新しい視点の研究で、ツアーなどの商品開発の動きが出始めたところです。訪日外国人旅行者(インバウンド)は年々増えて、日本経済を支える柱になってきています。トランジットツアーは、その外国人に日本の複数の魅力、新しい目的地を提案するツールになるとみられています。
ちょうど良い時間で
例えば羽田空港で乗り継ぎ便の出発まで5時間あるとします。羽田からは約1時間で八丈島に飛ぶことができます。八丈島に行くと、自然豊かな南の島という東京の違う一面を見ることができます。温泉や八丈富士の登山を楽しむこともできるでしょう。乗り継ぎ時間を有効に使って、短時間で充実した観光体験ができる提案先になり得るわけです。
あるいは、成田空港からほど近い千葉県佐原市は、川沿いに商家や町家が建ち並ぶ「水郷の町」です。限られた時間で効率的に楽しめるツアー先として、日本人観光客が増えているエリアです。観光客が増えたことで、地域整備も進みました。すると、インバウンドも増えました。町の魅力を磨こうという地域の動きが、「行ってみたい」イメージを高める好循環を生んだ例です。
こうした短時間観光をアピールできる地域は日本各地にあるはずです。
地域の活性化にも貢献
トランジットツアーは、旅行者の多様なニーズにこたえる柔軟なツアー形式であり、旅行業界の新たな成長分野になると期待されています。旅行者が乗り継ぎ待ちの間に、周辺地域を訪れることで、地元のビジネスや観光業の活性化に貢献できる可能性があり、アニメの「聖地巡礼」など観光資源の発掘にもつながります。研究と同時に、商品化など具体的な動きもますます進んでいくでしょう。
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先生情報 / 大学情報

明海大学 ホスピタリティ・ツーリズム学部 ホスピタリティ・ツーリズム学科 観光専攻 教授 木内 伸樹 先生
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観光学、観光地理学、観光マーケティング先生が目指すSDGs
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