体を動かす楽しさを全員に 一人一人が主役の体育

二極化する子どもたち
最近の小学生は、「運動が好きで得意な子」と「運動に興味がなく苦手な子」との、顕著な二極化が進んでいます。そのため、体育の授業では、苦手意識を持つ子どもたちにも「体を動かすことが楽しい」と実感してもらうことがより重要な課題となっています。
対話と気づきで深まる学び
実技をこなすだけで「できる・できない」と評価されるのでは、できない子にとっては単なる苦痛になりかねません。一人一人が自分なりの楽しさを見つけて、成長を実感できることが必要です。それを実現するのが、「自分なりの目標を立てる」「どうすれば達成できるか考える」「やってみて振り返る」「仲間と話す」という主体的で対話的な学びです。例えば「速く走れるようになる」という目標を立てるだけでなく、「どうすれば速くなるか」を考えて、実践し、振り返るというサイクルを作ります。また、チームが強くなるために各自の目標を立て、実技が得意な子からアドバイスをもらい、気づきを共有し合うといった対話も大切です。
ある学校では、サッカーの授業であまり動けずにいた子どもが、全体の動きをよく観察して「ボールが中央に集まりすぎている」と指摘しました。この一言がチームに新たな気づきをもたらし、ゲーム展開が改善しました。その子も徐々にボールに関わるようになり、自信を得ていきました。
学びを支える仕組み
このような授業を実現するため、教員が適切なアドバイスができるように、子どもたちがつまずきやすいポイントが体系的に整理されています。またICTの活用により、自分の動きを撮影して模範動画と比較することで、子ども自身が課題を見つけられるようになりました。さらに、教員をめざす学生が、早い段階から学校現場に出て子どもたちと関わる「サービスラーニング」という取り組みも進んでいます。こうしたことにより、実践力を持った教員が育ち、より良い体育の授業づくりにつながっていくのです。
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先生情報 / 大学情報

愛知東邦大学 教育学部 子ども発達学科 准教授 伊藤 数馬 先生
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