日本における法的支援の課題とは? 司法へのアクセスの重要性

生活を支えるための司法
社会には生活状況や金銭面など、さまざまな悩みを抱えて過ごしている人がいます。解決手段の一つが、司法の専門家への相談です。しかし法的な助言を受けられなかったり、そもそも専門家に相談するという選択肢が頭に浮かばなかったりする人もいます。悩みを解決できる制度があっても、必要な人に利用してもらえないことは珍しくないのです。人々の生活や権利を保障するためにも、司法へのアクセスの現状を把握し、課題解決につなげる研究が始まりました。
日本における司法のハードル
研究が進むにつれて、日本は司法へのアクセスのハードルが高い国だとわかってきました。まず、法律の専門家である弁護士の数が少ないことが挙げられます。そのため弁護士が市民から遠い存在になっており、特に地方に法律の専門家が少なく、気軽に相談しにくい状況が続いています。代わりに地域の問題を解決するための支援ネットワークが形成されていますが、メンバーには法律の専門家が含まれておらず、法的な支援だけが抜け落ちてしまっているのです。課題を解決するには、行政福祉や民間団体などと法律の専門家との連係が不可欠だといえます。
コロナ禍後の変化を調査
2020年頃から本格化した新型コロナウイルス感染症の流行を経て、司法へのアクセスがどう変化したのかも研究されています。コロナ禍前は、支援が必要な人々に対して弁護士などが積極的に働きかけを行う動きも見られました。しかしコロナ禍では対面での相談が難しかったため、悩みを抱える人々がますます孤立したのではないかと予想されています。調査が始まると、コロナ禍以前は絶対的だった「対面での法的支援」に変化が起きたことがわかってきました。リモートでのオンライン相談が可能になり、司法へのアクセス手段が増えたのです。ただし「法的な相談は対面でしたい」と考えている人も一定数見られます。相談手段の増加が司法へのアクセスのハードルを下げるかどうかは、さらに調査・研究が必要です。
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