物質はどのように生まれたのか? 未来の素粒子物理学の実験

この世界をつくる最小単位「素粒子」
中学では「物質の最小単位は原子であり、陽子、中性子でできた原子核の周りを電子が回っている」と教わります。しかし実は、陽子、中性子はさらに小さな「素粒子」でできています。例えば陽子は、3個の「クォーク」という素粒子が集まったものです。
現在、素粒子は17種類見つかっており、その性質や素粒子間に働く力を説明した理論が、「標準理論」です。とても正確な理論ですが、例えば、「ダークマター」を説明できないなど、未解明の部分もあります。そのため、標準理論の実証や、標準理論を超える物理現象を探す実験が行われています。その実験施設が、スイスのCERN研究所にあるLHC(Large Hadron Collider)です。
宇宙の始まりの再現する「LHC加速器」
LHCは、光速近くまで加速した陽子同士を衝突させて、どんな現象が起こるか観測する装置です。この実験には世界中から研究者が参加しており、日本の大学も検出器の開発、運用、物理解析に携わるなどの貢献をしています。
LHCは、素粒子が高エネルギーで飛び交っていた、宇宙の始まりの状態を再現したものと言えます。そこからどう物質ができてきたか、宇宙の謎の解明にもつながると期待されているのです。
未来の素粒子実験「EIC」
2030年代には、アメリカで新たな加速器EIC(Electron-Ion Collider)の運用が計画されています。EICは、陽子の衝突で起こる現象を観測するLHCとは異なり、陽子の中の素粒子の様子を調べるものです。
例えば、陽子の中にいるクォークは、高い運動エネルギーをもって絶えず動き回り、その状態は常に変化しています。さらに、陽子の質量は3つのクォークの質量を足し合わせただけでは説明できず、内部での素粒子の運動や、相互作用によるエネルギーが大きく寄与していると考えられています。
EICでは、電子と陽子を衝突させて陽子の内部構造をより精密に調べ、その質量やスピンの起源を解き明かそうとしています。
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