光の当て方がカギ! 点滅光で有機化学合成を効率アップ

光化学反応の光の照射方法
光のエネルギーを利用した有機合成反応は、従来の熱や触媒による反応では難しかった有機化学合成を可能にするものとして注目されています。工業化などの社会実装に向けて、その反応方法の開発が進められています。
従来の反応開発においては、化学合成がうまくいかない場合、反応に使われる試薬や触媒の種類、温度などの条件を検討するのが主流でした。これに対して新しい光反応開発は、光の「照射の仕方」に着目するものです。光を連続的に当てる一般的な照射の仕方よりも、光を点滅させる方が反応の効率が良くなることがわかってきました。
さまざまなメリット
例えば、フェノールにトリフルオロメチル基(CF₃)を導入する有機合成反応では、生成物が光に弱いため連続光を照射すると分解してしまい、回収することが困難です。これに対して光を点滅させると生成物は分解されずに残るので、回収が可能になります。また、連続光では反応が進みすぎてCF₃基が複数入ってしまう「オーバーリアクション」や、発熱も、点滅光では避けられます。ほとんどの反応において光のエネルギーが必要となるのは反応の最初の部分なので、点滅させる方がエネルギー効率が良いのもメリットの一つです。
フェノールの反応ではマイクロ秒(100万分の1秒)単位の間隔で点滅させると最も効率がよくなりますが、反応の種類によって最適な間隔は異なります。マイクロ秒から数時間までの範囲で、反応ごとの最適な間隔の探索が行われています。
メカニズム解明でより効率的に
光を点滅させることで有機反応の効率が良くなることは実験により示されていますが、それがなぜなのかはまだよくわかっていません。そこで、反応の最初期にできる反応性の高い分子の状態変化を測定し、点滅光と連続光での違いを調べるなどして、メカニズムの解明が進められています。
また、点滅光での有機光反応はこれまでほぼ行われてこなかったため、反応に適した点滅光を照射する装置の開発も行われています。
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