人工ダイヤモンド製のパワー半導体が秘める可能性

私たちの生活に欠かせないパワー半導体
一般的な半導体に比べて高電圧や大電流を効率よく制御・変換できるパワー半導体は、電気自動車やエアコン、スマートフォンなど幅広い分野で活躍しており、省エネや機械の小型化に大きく貢献しています。私たちの暮らしに欠かせない存在なのですが、従来型のシリコン製は性能面で限界に近づいており、より高性能な材料の開発が課題となっています。そこで注目されているのが、人工ダイヤモンドを使ったパワー半導体です。
実用化のハードルに挑む
ダイヤモンドは熱に強く、電気を効率よく流せる特性を持ちます。これにより高温でも壊れにくく、大きな電力を扱えるパワー半導体の製造が可能になるわけです。また、電気が無駄に熱へと変わるのを抑えるため、さらなる省エネ化や小型・軽量化にもつながります。ただし、実用化は簡単ではありません。まず、半導体では不純物をわずかに加えることで電気の流れを調整しますが、ダイヤモンドは原子同士の結びつきが強く、不純物を取り込みにくいという課題があります。また、半導体は薄い円盤状の基板(ウエハー)の上に回路を形成しますが、基板は大きいほどコストが下がります。ところが、ダイヤモンドでは大口径の基板を製造することが難しいのです。
宇宙、原発、家電にも
近年、こうした課題も解消されつつあります。そう遠くない将来、ダイヤモンドを使ったパワー半導体が実用化されることでしょう。まずは、宇宙・航空分野での活用が期待されます。さらに、原子力発電所の炉内作業用ロボットなど、放射線量が高い環境下での運用も可能になります。電気ロスが少ないため、画期的な発電・送電システムの開発にもつながるでしょう。
一方で、家電製品や電気自動車などのような身近な製品に使われるようになるには、まだ時間がかかりそうです。コストが大きな壁となっており、次の世代で技術のブレークスルーが生み出されることが期待されます。
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