注意は届いている? 通院がん患者の自宅生活

抗がん薬に細心の注意
がんは、日本人の2人に1人がかかるとされる病気です。治療は手術のほか、抗がん薬などを用いて行われますが、抗がん薬はがん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、極めて慎重に取り扱われます。例えば、医師や看護師、薬剤師は、必ずマスクや手袋を着用し、できるだけ皮膚を露出しないようにします。さらに、専用のキャビネット内で抗がん薬の調製・取り扱いが行われます。このようなガイドラインを設けることで、抗がん薬によるリスクを可能な限り低減しています。
増える通院がん患者
近年は入院ではなく通院によってがんの治療を受ける人が増えてきました。通院の場合は、定期的に病院に通って抗がん薬治療を受けたり、薬を処方してもらって自宅で服用したりします。ただ、自宅での過ごし方に対する注意が十分に行き届いていないのではないか、という指摘があります。例えば、患者の尿からは一定期間、抗がん薬成分が活性を保ったまま排出されます。適切な対策を取らなければ、排出された成分が患者以外の家族に影響を及ぼす可能性があります。実際、患者の協力により行われた調査では、病院のトイレよりも高い残存値が患者宅のトイレで検出されています。
リスク認識と対策は十分?
内服用薬(錠剤やカプセル等)は患者以外が安易に触れないようにすることが重要です。また、せきやくしゃみなどで飛沫(ひまつ)を飛ばさないようにしなくていけません。こう注意すると、いかにも「危険」と感じられるかもしれませんが、あくまでも「危険性がある」であり、過度に恐れる必要はありません。コロナ禍の時のように必要時マスクを着用し、手洗いを徹底する、さらにトイレではふたを閉めてから流すようにする、トイレのドアノブはきちんと拭く、こうした対策を徹底することで、リスクは大きく低減できるのです。また、医療関係者の間でも通院治療に伴うリスクへの認識が高いとは言えないため、関係者への啓発も重要な課題です。
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