「地域で暮らすこと」を支援し、一人一人に寄り添う看護

「地域で暮らすこと」を支援し、一人一人に寄り添う看護

病院ではなく地域がフィールド

看護は病院の中だけで行われるものではありません。健康上の問題や障害を抱えた人が、住み慣れた地域で安全に、その人が希望する暮らしを続けられるように支援することも、看護の大切な役割です。このような分野を、地域・在宅看護と呼びます。その対象は病気や障害のある人だけでなく、例えば加齢によってさまざまな身体的変化が生じる高齢者が、できるだけ長く、自立した生活を送れるよう支援することも含みます。

一律の支援では通用しない

支援を行う上で大切なのは、地域の特性や一人一人の価値観・生活スタイルに合わせて、支援の内容や方法を考えることです。例えば高齢者の自動車運転をめぐる問題では、単に「危ないから運転をやめましょう」と啓発するだけでは、車が生活の必需品となっている地域の人にとってより良い生活のための支援にはなりません。近年の研究では、運転操作の誤作動には認知機能だけでなく、下肢の運動機能の低下も影響することがわかってきています。それを踏まえれば、下肢の筋力を維持・向上するための支援など、生活を続けるために必要な取り組みを検討していくことが重要でしょう。何事も一律ではなく、地域や個人の状況に応じた柔軟な支援が求められているのです。

地域の特性を深く理解する

こうした支援を実現するためには、まずその地域のことを深く理解する必要があります。都市部と郊外では生活スタイルが大きく異なり、その違いが歩くスピードや下肢の筋力の低下度合いにも影響している可能性があります。例えば積雪の多い地域の人たちは、冬の間どのような生活を送っているのでしょうか。閉じこもることで社会とのつながりも少なくなっているかもしれません。そうした地域ならではの特性を丁寧に把握して、人々の心身の健康に何が影響しているのかを考えていくことが不可欠です。地域・在宅看護では、対象を「患者」としてではなく、「その地域で暮らす人」として理解する姿勢が基盤となるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

北里大学 健康科学部 看護学科 教授 森谷 栄子 先生

北里大学 健康科学部 看護学科 教授 森谷 栄子 先生

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高齢者看護学、地域看護学

メッセージ

看護の対象は、病気や障害のある人から健康な人まで「すべての人」です。看護の道をめざすなら、周りにいる人たちと積極的に会話したり、ボランティア活動をしたり、ぜひ幅広い世代の人と交流してください。それが、看護職として働く際に自分の強みになるはずです。現在は入院期間だけでなく、対象の人の健康と暮らしを支援する地域・在宅看護の必要性が非常に高まっています。そのために欠かせない地域への理解を重要視し、当学科では本学のある地域のことを調べ、その特性について考える授業を1年次から実施しています。

北里大学に関心を持ったあなたは

北里大学では「なりたい、を超えていく」をコンセプトに、思い描いた将来像をも超えていけるような、社会に出てからも成長し続ける人の育成をめざしています。
また、「生命科学の総合大学」として、データを読み解き、未来の課題を見つける分野(未来工学部)、生命科学の基礎的研究を行う分野(理学部)、 動植物と環境に関する分野(獣医学部、海洋生命科学部)、人間の生命と健康に関する分野(薬学部、医学部、看護学部、医療衛生学部、健康科学部)の4つのフィールドから総合的にアプローチしています。