講義No.16573 看護学

看護師は何を見て、どう判断しているのか ケアを可視化する

看護師は何を見て、どう判断しているのか ケアを可視化する

見えにくい看護師の専門性

病院のベッドの上で目を覚ましたと想像してみてください。体を動かすことができず、頭が割れるように痛みます。そばにいる看護師に何をしてほしいでしょうか。「原因を知りたい」「痛みをとってほしい」「家族に会いたい」など、さまざまな要望があるはずです。また、体は動かせないのにトイレに行きたくなるかもしれません。
看護師は、その場の状況や患者の状態を見て判断し、相手を不安にさせないようにさりげなくケアを行います。対人援助や病気の知識を専門的に学んでいるからこそできることですが、その力は目に見えにくく、「優しい存在」といった漠然としたイメージで評価されがちです。

判断を言語化、可視化する

看護師のケアは、画一的ではありません。そのケアについて、看護師が何を見て、どう判断しているのかを可視化する試みが行われてきました。例えば、考えていることをそのまま口にする「思考発話法」や、インタビューなどです。思考発話法で考えていることのすべてを言語化するのは簡単ではありません。また、インタビューでは「ここを見ていたはず」といった不確かな情報が入ることがあります。
そうした課題を補うために、視線データを記録するアイトラッキングで、「看護師が実際にどこを見ているのか」をとらえようという研究が行われています。ただ、シミュレーターを使ったものでは個別性のある判断が起こりにくく、実際のケアでは看護師自身も動いているため視線データが安定しません。そこで、PCの画面にアイトラッカーをつけて、電子カルテのどこを見ているのかを調べる調査が行われています。

視線データで着眼点を分析

アイトラッキングは1秒間に約60個以上の視線データを記録できます。データが膨大で、処理が難しいという課題がありましたが、データ解析の専門家と連携することで、看護師がどこに着目し、何を見落としやすいのかが分析できると期待されます。ベテラン看護師の着眼点や、自分自身の傾向を若手看護師が知ることは、看護教育に大いに役立つはずです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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千里金蘭大学 看護学部 看護学科 准教授 伊藤 朗子 先生

千里金蘭大学 看護学部 看護学科 准教授 伊藤 朗子 先生

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メッセージ

看護に関心を抱いている高校生から、「自分はコミュニケーションが苦手」と不安の声を聞くことがあります。自分の考えをうまく話せないタイプだとしても、あまり心配する必要はありません。むしろ看護には、相手が今何を考えているかを想像する力の方が大切です。高校生の今、自分自身に関心が向いているのは自然なことです。人との関わり方を学び、トレーニングを重ねて、相手のことを考えられる看護師へと成長していくことができます。今はあなた自身の興味や関心を大切に、一歩を踏み出してください。

千里金蘭大学に関心を持ったあなたは

千里金蘭大学は、看護学部・栄養学部・教育学部の3学部3学科を擁し、専門性と豊かな人間性を兼ね備えた人材の育成を目指す大学です。
少人数教育を特色とし、一人一人に寄り添うきめ細かな指導と実践的な学びを通して、各分野で活躍できる専門職業人を育成しています。また、資格取得を支える充実したカリキュラムや実習、学修・就職支援、地域社会との連携を通じて、学生の可能性を伸ばし、未来を切り拓く力を育む教育を展開しています。さらに、創立以来培ってきた女子教育の伝統を基盤に、社会に貢献できる人材を育成しています。