看護師は何を見て、どう判断しているのか ケアを可視化する

見えにくい看護師の専門性
病院のベッドの上で目を覚ましたと想像してみてください。体を動かすことができず、頭が割れるように痛みます。そばにいる看護師に何をしてほしいでしょうか。「原因を知りたい」「痛みをとってほしい」「家族に会いたい」など、さまざまな要望があるはずです。また、体は動かせないのにトイレに行きたくなるかもしれません。
看護師は、その場の状況や患者の状態を見て判断し、相手を不安にさせないようにさりげなくケアを行います。対人援助や病気の知識を専門的に学んでいるからこそできることですが、その力は目に見えにくく、「優しい存在」といった漠然としたイメージで評価されがちです。
判断を言語化、可視化する
看護師のケアは、画一的ではありません。そのケアについて、看護師が何を見て、どう判断しているのかを可視化する試みが行われてきました。例えば、考えていることをそのまま口にする「思考発話法」や、インタビューなどです。思考発話法で考えていることのすべてを言語化するのは簡単ではありません。また、インタビューでは「ここを見ていたはず」といった不確かな情報が入ることがあります。
そうした課題を補うために、視線データを記録するアイトラッキングで、「看護師が実際にどこを見ているのか」をとらえようという研究が行われています。ただ、シミュレーターを使ったものでは個別性のある判断が起こりにくく、実際のケアでは看護師自身も動いているため視線データが安定しません。そこで、PCの画面にアイトラッカーをつけて、電子カルテのどこを見ているのかを調べる調査が行われています。
視線データで着眼点を分析
アイトラッキングは1秒間に約60個以上の視線データを記録できます。データが膨大で、処理が難しいという課題がありましたが、データ解析の専門家と連携することで、看護師がどこに着目し、何を見落としやすいのかが分析できると期待されます。ベテラン看護師の着眼点や、自分自身の傾向を若手看護師が知ることは、看護教育に大いに役立つはずです。
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