分子マーカーで死因を特定! 命を救う法医学の研究

分子レベルで死因を特定
法医学は、不審死、突然死などに対し、法律に基づいた解剖で死因を特定することが主要な研究です。法医学の本質を表わす言葉に「屍(し)は師なり」という言葉があります。つまり、遺体が多くのことを教えてくれるということです。
従来の解剖では臓器の変化を調べますが、目に見える変化がないことも多いため、細胞レベル・分子レベルでの研究が進んでいます。免疫物質であるサイトカインや各種ホルモンをはじめ、死に至った状況で増えるさまざまな体内物質は、死因を特定する「分子マーカー」になります。例えば、心臓の状態に変化を及ぼすような重篤な疾患がなくても、慢性的なストレス環境にあると、人は心疾患で突然亡くなることもあります。そのとき、体内でどんな物質が通常より増えているかがわかれば、死因は心疾患であったと推定できます。
危ないストレス状態を察知する
こうした分子マーカーの研究は、臨床の現場でも役立ちます。例えば、病状が進んでいなくても、血液検査などによって分子マーカーが増えていることがわかれば、「突然死に至る可能性があるから休んでください」というような対処ができます。ストレスに気づかない働き盛りの人の命を助けられるのです。
法医学の研究は、多くの命を救い、人々の健康を向上させ、ひいては、社会の活力や経済活動にも貢献しています。
「命を救う分子マーカー」の研究
また、分子マーカーの研究は、自死を防ぐことにもつながる可能性があります。誰かがうつなどで自ら命を断ってしまったとき、残された人は「〇〇の悩みがあったから」と推測するしかありません。しかし同じ悩みがあったとしても、自死を踏みとどまる人もいます。そこで、自死に向かう精神状態と関連する分子マーカーを見つけ、事前に危険度を察知する研究が進んでいます。
こうした分子マーカーを、唾液や髪の毛などから見つける方法も研究されており、患者に負担をかけない検査方法の開発も目標とされています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報

先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?
![選択:[SDGsアイコン目標3]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-3-active.png )
![選択:[SDGsアイコン目標10]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-10-active.png )
![選択:[SDGsアイコン目標16]](https://telemail.jp/shingaku/requestren/img/data/SDGs-16-active.png )