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モノづくり産業の集積地だからこそできる学び
公立諏訪東京理科大学は、モノづくり産業の集積地である長野県諏訪地域に立地しています。本学ではその環境を活かし、情報工学・機械工学・電気電子工学に関わる教育・研究を行っています。ロボットや電気自動車など暮らしや産業での活用を目指し、研究の具現化を視野に入れた学びや、AIやビッグデータの活用など最先端情報技術の開発・活用に加え、社会で求められる経営学の素養を身につけた技術者の育成を特徴としています。
AIで表出する課題を解決する新たな人材育成プログラム
AI・データ解析の基礎を身につけた専門家の育成を目標とし、2020年度から全学生を対象に「データサイエンス・AI人材リテラシー教育プログラム※1」を実施。AI技術実装の最新事例や、AI技術の活用を学ぶ全学的な取り組みであり、課題発見、問題定義、データの収集整理、データ分析、ソリューションを提案できる人材の育成を目指しています。「AI時代の情報倫理」「統計学」などの科目を通して、AI技術がもたらす社会変容やビジネスの変化を考え、グローバルな視点で倫理的問題や人間中心に問題を解決する方法の理解を深めるとともに、実社会においてデータを統計的手法で分析する知識・スキルを身につけます。また、基礎的な素養の修得にとどまらず、自らの専門分野において、数理・データサイエンス・AIを応用・活用することができる人材を育成するため、2023年度より『データサイエンス・AI人材リテラシー教育プログラム 応用基礎レベル※2』を新設しました。
※1 2022年度、文部科学省『数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)』に認定
※2 2024年度、文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(応用基礎レベル)」に認定
情報応用工学科の研究事例(1) 被災体験をデータ化し自然災害を予測する
情報工学の技術を用いて、被災体験や言い伝えを、地質学や土木工学の知見に基づいて数値化・解析をしています。例えば、災害の前兆の異音や異臭の種類を特定してデータ化すれば、それを感知するセンサの開発につながります。また、土砂崩れが発生しそうな斜面をAIでモデル化し、斜面崩壊を予測するシステムの開発も目指しています。災害の襲来情報を早期に知ることで、個人の判断でいち早く避難できるようにすることが目的。百年や千年という時間軸で起こる自然災害の監視には長い時間が必要ですが、「想定外」の犠牲を繰り返すことにならないよう研究を行っています。
情報応用工学科の研究事例(2) 心筋梗塞を予測する動画像診断装置の開発に挑む
生命科学には解明すべき問題が多く、情報工学の観点からプログラミングで解析して実用化を目指します。例えば心臓の動きを解析して心筋梗塞を予測する医療動画像診断装置の開発では、AIプログラミングを駆使して、心臓の部位ごとに微細な動きの大きさとその方向までも解析して、CGによる可視化からビッグデータ解析により心筋梗塞特有な動きの抽出に成功。医療現場で広く使われている超音波(エコー)動画像をリアルタイムに処理できるため、救急救命の診断時間短縮の可能性もあります。将来的には、心筋梗塞の兆候検知とその進行度合いの予測をするAI予測診断システムの構築を目標に研究を行っています。