個人情報は眠るお宝! 情報の価値を分析し、経済効果を探ろう
個人情報ってどれくらいの価値があるの?
私たちは誰もが個人情報を持っています。名前や住所、年齢はもとより、SNS情報やインターネットでの検索履歴、商品の購入履歴もそれに含まれます。特にデータとして注目されるのは、個人のさまざまな履歴や位置情報です。これらパーソナルデータを分析し、どれくらいの経済的価値があるのかを推計すると、情報の価値が生む経済効果が見えてきます。例えば携帯電話会社が持つ個人の位置情報は、現在、特定の目的にのみ使われています。でも、もしこの情報を自由に売ることができたとしたら、2000億円もの市場が新たに生まれるという推計もあります。
感情が個人情報の経済価値を左右する!
時々ニュースで企業の個人情報漏洩(ろうえい)が問題となりますが、これに対する補償額の検証も必要です。今は1件当たり500円というような相場もありますが、分析した結果、個人情報の種類にもよりますが、3000~1万5000円の補償が妥当であることがわかってきました。このように個人情報には経済価値があるのですが、実は感情が大きくその価値を左右するのです。
例えば、人に知られたくないインターネットの閲覧履歴が漏れた場合、後ろめたさが先立ち、高額を要求しない傾向があります。このように、感情によって価値に違いが生じるところが特徴と言えます。
個人情報を取引する時代の課題とは
個人情報保護法の改正もあり、日本では個人情報をもっと上手に活用しようという流れになってきています。以前はプライバシーの保護が最優先でしたが、考え方が少しずつ変わってきているようです。今、「情報銀行」という構想があります。個人情報を預金のように預け、それを活用することにより得られた利益を個人に還元しようというものです。
ただ、先にも述べたように個人の情報には感情が絡んでくるので、それをどう認識して情報を取引するか、また個人が正しい価値判断を下せるかなど課題は山積みです。「モノの経済」から「情報の経済」へと、時代を先取りする研究が行われています。
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静岡大学 情報学部 情報社会学科 教授 高口 鉄平 先生
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