データサイエンスが拓く地盤工学の未来

見えない地盤の推定
現在、さまざまな分野でビッグデータと機械学習による変革が起こっています。こうした変革を地盤工学の分野にも取り入れようと、地盤工学とデータサイエンスを組み合わせる研究が進められています。
地盤工学におけるデータサイエンス研究の一つの例が地盤の推定です。実際の工事では、限られた数の地盤調査結果をもとに技術者が地盤の状態を推定しますが、推定には高度な知識と経験が必要であり、また技術者によって推定結果が異なることがあります。このような地盤の推定を代替するためのコンピュータによる計算手法が開発されています。コンピュータを使えば結果がぶれることもなく短時間で推定できるほか、推定の確実性を定量的に表すことも可能です。
ノイズに埋もれた本質的な情報を抽出
もう一つの例は、ノイズだらけのデータから本質的な情報・構造を抽出する技術です。グラフに任意の線を引き、人為的にノイズを入れて元の線がわからないようにします。この複数のギザギザの線から機械にデータの元となった「任意の線」を判別させるのです。この技術の実用例は、人工衛星による地表観測データの解析です。人工衛星から得られたデータはノイズが多く、人の目ではどのような傾向があるのかや、データが示す特徴的なパターンを認識することができません。そこで、先ほどの機械に判別させるのです。人は現実の空間しか認識できませんが、コンピュータは解釈しやすいよう空間を自由に曲げたり折りたたんだりしてデータを判別しています。
データの活用を前提とした新しい地盤工学へ
道路や橋などの構造物を設計する際には、設計者が守らなければならない基準がありますが、その基準はデータの活用や高度なデータ解析を前提としたものではありません。大学で学ぶ地盤工学の内容も実は過去50年間でそれほど変わっているわけではありません。こうした現状からデータと機械学習の活用を前提とした学問へ地盤工学を発展させることをめざし、地盤工学におけるデータサイエンスの研究が進められています。
参考資料
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先生情報 / 大学情報

東京都市大学 建築都市デザイン学部 都市工学科 教授 珠玖 隆行 先生
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