環境に優しい素材の電子部品 それを支える計測技術

環境に優しい素材の電子部品 それを支える計測技術

電子部品の製造にも環境への配慮を!

「エレクトロニクス(電子工学)」とは、電子の性質を応用した電子部品や半導体などの研究開発を指します。そこに環境への配慮を盛り込んだ、「グリーンエレクトロニクス」が注目されています。例を挙げると、微生物によって分解される生分解性の材料を使う、製造工程で有害な物質の使用を避ける、エネルギー効率を良くする、などといった技術の開発です。

圧力を加えると電気が起きるプラスチック

生分解性プラスチックなど、資源循環型の材料が数々開発されていますが、3Dプリンタのフィラメントなどとして使われている「ポリ乳酸」は、電子機器の材料としても注目されています。ポリ乳酸は、トウモロコシを原料につくられる有機高分子で、プラスチックの一種です。土に埋めると1カ月ほどで分解されてなくなります。
これをフィルム状にして引き延ばすと、分子の向きがそろい、そこに圧力を掛けると電気が発生するという性質があります。これを「圧電性」といいますが、この性質を応用すると、振動(圧力の変化)を測れるフレキシブルなセンサや、電圧の変化で振動を起こす原理を使ったスピーカーができます。

新材料の応用は正確な評価から

圧電性を持つ生分解性材料で電子機器をつくるとき、その圧電性能を事前に調べることが重要です。めざす機能が実現できるかどうかは、圧電性能にかかってくるからです。そこで、圧電性能を評価する計測技術に注目が集まっています。中でも、「走査型プローブ顕微鏡」を使う方法は、500ナノメートルという極小の範囲で精密に特性を測ることができる画期的な技術です。プローブと呼ばれる針で高分子フィルムの表面をなぞりながら、分子の画像を撮影したり、電圧をかけてフィルムの厚みがどう変わるかを観察したりします。
このような優れた評価技術のおかげで、開発された未知の生分解性材料の応用が簡単にできるようになり、グリーンエレクトロニクスを加速させることができるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

関西大学 システム理工学部 グリーンエレクトロニクス工学科 准教授 宝田 隼 先生

関西大学 システム理工学部 グリーンエレクトロニクス工学科 准教授 宝田 隼 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

電気電子工学、電子デバイス

先生が目指すSDGs

メッセージ

ものづくりにも、SDGs、環境への配慮は必須の時代です。半導体メーカーや電子機器メーカーも、消費電力の削減などに配慮していて、そういうことに意識を向けられる人材を求めています。本学科では、授業の内容ごとに、それを環境の視点で考える機会を提供して、環境意識を高められるようなカリキュラムが組まれています。私も、そういう意識を持てる人と一緒に研究したいと思っています。また、基礎の上に応用はあり、しっかりした評価をしたうえでの研究開発を心掛けています。

関西大学に関心を持ったあなたは

1886年に「関西法律学校」として開学した関西大学は、商都・大阪に立地する大学らしく、学理と実際の調和を意味する「学の実化」を教育理念に掲げています。2026年4月には、システム理工学部に新たにグリーンエレクトロニクス工学科を開設。また、千里山キャンパス北東2.2kmには「吹田みらいキャンパス」が誕生し、2025年開設のビジネスデータサイエンス学部の学舎をはじめ、国際学生寮やグラウンドを配置するなど、企業・自治体との連携や留学生交流、体育会活動など多様な学びを育む環境が広がっています。