子どもの未来を支える小児医療

子どもは「小さな大人」ではない
小児科では「小児は成人の小型のものではない」という考え方をとても大切にしています。子どもは成長の途中にあり、臓器の発達スピードもそれぞれに違います。そのため、大人と同じ基準や方法で治療するのは無理があります。また、子どもは発症した病気と長く関わることが多く、特に慢性の病気では薬の副作用にも十分な配慮が必要です。薬を使って病気を治すだけでなく、その後の成長や生活の質を守ることも、小児科医の重要な役割です。子どもの将来を見据えた診療が、日々の現場で求められています。
ビタミンで病気を治す?
ネフローゼ症候群という腎臓の病気では、通常は治療にステロイド薬が使われます。しかし、ステロイドには骨がもろくなる副作用があり、子どもの身長の伸びに影響が出かねません。そこで注目されているのが、抗酸化作用をもつビタミンEやビタミンCです。これらは体への負担が少ないため、治療効果が実証されれば、子どもにも長期間、安全に使える可能性があります。病気と長く向き合う子どもたちにとって、できるだけ体に優しい治療法を見つけたいというのが、小児科医の願いです。
小児科が遺伝子の病気を見つける
近年は、遺伝子を詳しく調べる技術が大きく進歩してきました。遺伝性疾患は、がんのように環境要因で発症する病気とは異なり、生まれつき体に影響を与えるケースが多いために小児期に発見されることが多いものです。つまり、小児科が早期発見のカギを握っているのです。こうした病気の診断や治療、さらには将来の病気のリスクを把握する上で、小児医療においては遺伝子検査がますます重要になるでしょう。小児科では、子どもの時期だけでなく、人生全体を見通した診療を行い、成長後は内科の医師にしっかりとバトンを渡します。数多くの症例に触れられる小児科だからこそ果たせる役割があり、それは社会全体の健康を支えることにもつながっています。小児科は、まさに未来の医療を切り開く最前線なのです。
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