英語のライティング力や学習意欲を高める「ピア・フィードバック」

英語のライティング力や学習意欲を高める「ピア・フィードバック」

ライティング力が重要な時代に

英語力のスキルアップには、さまざまな技能習得が必要です。中でも今重視されているのは「ライティング力」です。書くことは、自分の考えをまとめ、批判的思考力を伸ばすために重要なスキルです。グローバル化した時代となり、英語の文章を駆使するシーンが増えています。こうした背景を受けて、文部科学省は英語のライティング力の強化を進めています。
学習効果が高いとされる学習法に、「ピア・フィードバック」があります。これは、書いた文章を生徒同士で互いに読んでコメントし合い、改善していく手法です。英語を母語とする国では一般に行われますが、日本の教育現場では、実施数が少ないのが現状です。

能力も意欲も高める手法

ピア・フィードバックには、どのような効果があるのでしょうか。ある高校の英語授業で、一方のクラスは自主学習を行い、もう一方のクラスはピア・フィードバックを実施して、比較検証しました。すると、ピア・フィードバックをしたクラスの方が、文章全体の構成力や内容の正確性などが優位となったのです。さらに、間違えないよう注意して読み書きする、自分が書き手である、という意識が高まる傾向も見られました。
もちろん、教師からのフィードバックも必要ですが、そこにピア・フィードバックを加えることで、スキルや意欲の向上、英語力への自信の獲得などがめざせます。スピーキングやリスニングにおいても、ピア・フィードバックに同様の効果があることがわかっています。

教育現場での実践

ライティング学習では、文法や構文、単語、スペルを覚えるという勉強になりがちですが、同時に自信をつけて、学習意欲を高めることも大切です。自らアウトプットし、考えることができるピア・フィードバックは、それが可能になります。ただ、指導を受けた経験がないために、こういう学習法に詳しくない教師も多いので、有効な学習法を高校で実施できる体制の整備が急務となっています。

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先生情報 / 大学情報

名古屋商科大学 国際学部 英米学科 教授 栗原 典子 先生

名古屋商科大学国際学部 英米学科 教授栗原 典子 先生

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英語教授法、応用言語学

メッセージ

自分の進みたい道が漠然としている人は多いでしょう。しかし、身近な人の何気ない言葉が、自分の方向性を決めることは多々あります。私はもともと高校の教師をしていましたが、ある人からさりげなく「世界中の留学生に英語を教えてみないか」と言われたことで、高校教師以外の道を進む決意をしました。また、知り合った人に憧れて大学院への進学を決め、今の道に進んでいます。周りの人がヒントをたくさんくれます。大学卒業後の人生にも、選択肢はたくさんあるのです。

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