道の駅を黒字経営の人気スポットにするには?

全国の道の駅の3割は赤字経営
地域活性化が重要だといわれる中で注目されているのが「道の駅」です。道の駅は2025年1月末時点で全国に約1,230カ所あり、地方観光では欠かせないスポットになっています。しかし、そのうちの3割が赤字経営と言われ、人気のある駅とない駅で大きな格差が生じています。ではその違いはどこにあるのか、経営学の視点から見てみましょう。
道の駅「許田」の成功
道の駅は市町村またはそれに代わる公的な団体が設置することとされています。実際の運営は第三セクターと呼ばれる公・民が共同出資した団体組織や、民間団体に委託されているのが現状です。
道の駅をテーマにした地域活性の研究では、沖縄県名護市にある道の駅「許田(きょだ)」を成功例として分析しています。この道の駅は第三セクターが運営し、1994年の開設以来ずっと黒字経営を続け、道の駅ランキングにも入る人気の道の駅です。そうなれたのは、経営哲学と組織づくりにありました。
経営学から分析する運営のポイント
成功のポイントは、主に三つあります。一つ目は、「道の駅自身が決定権を持つ」ことです。状況に合わせて臨機応変に自分たちで決定し実行できる体制を作り、危機感とスピード感を持って道の駅を常に刷新しています。二つ目は、「行政からの迅速な情報提供」です。行政と対立することなく情報を共有できたことは、道の駅の運営を円滑にしました。三つ目は、「地域経済圏との連携」です。道の駅で販売するのは原則として沖縄北部12市町村の特産品とし、地元農家からの仕入れでは実績を評価して待遇をアップするなど、地域への経済還元も積極的に行いました。また地域の小中高生の職場体験や地元高校と共同で商品開発を行うなど、未来の顧客や人的資源の育成につながる活動も行っています。
地産地消と人材育成、地域経済への還元という経営哲学を持ち、ブレずに実行してきた成果が、今の道の駅「許田」の成功につながっているのです。
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名桜大学国際学部 国際観光産業学科 准教授大城 美樹雄 先生
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