読み書きが困難な人に、外国語をどう教える?

読み書きが困難な学習障がい
単語のつづりを何度も間違えてしまう、文章をすらすら読めないなど、文字の読み書きに困難を抱える「ディスレクシア」という学習障がいがあります。第一言語でディスレクシアが見られる場合、第二言語でも同様の症状が出る可能性が高いです。しかし日本語を母語とする人を対象にした、英語習得におけるディスレクシアへの支援策はほとんど研究されてきませんでした。
読み能力を高める教え方
適切なサポートと周囲からの理解があれば、ディスレクシアでも読み書きの困難を乗り越えることは可能です。実際に海外では専門の指導員や、ソフトウエアなどがディスレクシアの教育を支えています。そこで、日本の英語教育における、ディスレクシアに対する適切な教え方について研究が始まりました。
まずは読み能力を向上させるための教え方が検討されています。ディスレクシアにおける読み上げ速度向上のポイントは、文字を音にする能力である「自動化」と、文章の大まかな意味をとらえる「理解力」です。読解力の向上に重点を置くことで、「自動読解力」を身につけることが目標となります。授業で規定の時間内に短い文書を読み上げることをめざします。達成できたら英文のレベルを少し上げて、すらすら読めるまで何度も練習を重ねるのです。これらの力を身につけさせるため、多くの英文を読む「多読」が促されています。
多読がもたらす効果
多読を繰り返すうちに、英文を読み上げる力が徐々に伸びていくことがわかりました。さらに「自分にも英語が読める」と自信が芽生えて、次のリーディングに取り組みやすくなるという好循環も生まれます。練習は定期的に行う必要があるため、学校の授業でこうした機会を用意することがとても重要です。また、授業ではミスを恐れない環境を整えることも重要です。そもそも母国語ではない外国語の授業では、ミスをするのは当たり前です。そうした前提で教員や生徒が授業に向き合うことで、多読に挑戦しやすくなるのです。
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