観光地を思い通りに回るため、条件付きルートを探索せよ!

ネットワークを解析する
観光地を効率よく巡るルートや、学級連絡網での情報伝達の順番、インターネットのデータの流れなど、私たちの身の回りには「点」と「線」で表されるネットワークがあふれています。これらを数学的に解析するのが「グラフ理論」という分野です。離散数学の一分野で、モノや情報のつながり方や流れ方を数式でとらえることができます。近年では、通信や交通など社会インフラの効率化にも応用され、実用性の高い学問として盛んに研究されています。
条件付きルートを数式で導く
「すべての地点を回るルートは何通りあるか」という経路の数は、行列木定理という手法で計算することもできます。しかし多くの場合、私たちが本当に知りたいのは「自分の条件を満たすルートはどれなのか」という具体的な情報です。例えば、旅行で複数の観光地を回る際は、「最短距離で全部回りたい」だけでなく、「温泉の後は必ず休憩所に寄りたい」「この景色の良い道は絶対に通りたい」といった具体的な条件があります。学級連絡網の場合は、まず先生から発信するというように、ある程度の経路の方向が決まっています。つまり実用の際は、点とつながりの情報だけではなく、どの点をどんな順番で通るのか、どの道を使うのかといった「経路の構成」を数理的に扱う必要があるのです。
より複雑なネットワークへ
条件付き経路を扱うために、さまざまなアプローチの手法が開発されています。この手法ではグラフを分解し、それらを組み合わせることで、経路構成も把握できる方法を用いています。これにより、「この道を必ず通る経路は何通り」「AからBへの後にCに向かう経路は何通り」といったように、利用者のさまざまな条件に対応した経路情報をある程度具体的に得られるようになりました。
この手法に限らず、グラフ理論では、多様な視点やアプローチによる研究が進められています。そうした積み重ねにより、実際の通信網や物流のような、複雑で非対称なネットワークにも対応できる可能性が広がっていきます。
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