AIを使って危険を察知し、製造現場の事故を減らせ!

製造業と隣り合わせにある危険
現在、さまざまな分野でAIの応用が進められており、安全・安心にかかわる分野もその一つです。
日本は製造業が盛んな国ですが、オートメーションですべての製品を作っているわけではありません。精密度が高いものや小ロットのものなどは、人間が自ら工作機械や道具を動かして作ります。その際、作業者が手を刃物や熱に近づけることも多く、少しの操作ミスが事故につながります。近年では高齢者や障害者が作業に従事するケースもあるため、安全性の向上は不可欠です。そこで、AIを使った危険検知システムの開発が進められています。
大量のデータから危険な兆候をつかむ
まずは、人が機械や道具を使って作業している様子を撮影します。撮影は作業者の手元だけでなく、上半身や下半身にも行います。集めた大量の動画を、「問題ないもの」「事故につながる可能性のあるもの」「事故につながったもの」などに分類し、分析することで、「〇〇という動きが見られたら危険」「背中が△度に傾いたら事故につながりやすい」などがわかるのです。それをAIに学習させて、作業場所にカメラを設置し、危険な兆候が表れたときに音や光などで作業者に警告すれば、事故を未然に防ぐことができます。
正確性と時間・コストとのバランス
「何が危険につながるか」など分析すべき要素を増やせば正確性は増しますが、逆にデータ処理に時間がかかり、警告を出すのが遅れる危険性があります。また、カメラが多ければ安心ですが、コスト増は普及の妨げになります。これらのバランスをどう取っていくかも、安全・安心の分野でAIを活用する上でのポイントです。
解決すべき問題はまだまだありますが、AIを使って安全・安心を高める取り組みは進むでしょう。家の中で、AIを搭載した家電製品が「危ない!」と警告を発したり、ほかの家族にいち早く事故を知らせたりといった時代もそう遠くはないかもしれません。
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大分大学 理工学部 理工学科 DX人材育成基盤プログラム 准教授 小田 哲也 先生
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