道路や水道管、庁舎も大事 自治体の予算は何にどう使われるべき?

住民生活を支える地方財政
各市町村の自治体は、住民に対して福祉サービスや教育などさまざまなサービスを提供しています。そのようなサービスに不可欠な経済的基盤が、自治体の予算である地方財政です。自治体の予算は、住民の生活に必要不可欠な道路や橋、上下水道などの社会インフラの新設や古くなったインフラの整備などにも使われます。近年、埋設された水道管、下水道管が破損する事故が全国で起きていますが、これは耐用年数を過ぎた管の交換が行われなかったことが主な原因です。理由は、検査・工事をする人の不足や、ほかの公共事業が優先されたことでの着手の遅れです。
社会インフラは投資
経済学での「投資」は、工場を建てたり最新の機械を入れたりと、将来のために資金を投じることを言います。投資の対象は長期間使う物が大前提で、道路や橋、水道管、庁舎などの公共施設に資金を投じることも投資です。投資は、新しいインフラや施設を作るのにも必要ですし、古くなったインフラや施設の維持・補修をするためにも必要です。自治体はインフラの新設と維持・補修の両方を前提にした予算の使い方を考えなければなりません。
限られた財源をどう使うか
インフラも大切ですが、実は各市町村の市役所や役場といった庁舎の整備も大事です。最近は各地で地震や水害といった災害が起きていますが、庁舎は災害対応の拠点となり、避難所にもなる建物です。しかし耐震基準が変わった後も、耐震補強や建て替えができていない庁舎が数多くあります。建て替えには多額の費用がかかる上、国の補助金の対象外なので大きな負担になるからです。また予算も、住民が利用する公民館や体育館、住民生活に直接影響する橋や上下水道などの社会インフラが優先されがちです。限られた予算の中でやりくりするには、例えば規模を縮小して建て直すというやり方もあります。快適な生活維持のために、自治体と住民が一緒になって知恵を絞る必要があるのです。
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青森公立大学 経営経済学部 経済学科 教授 樺 克裕 先生
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