アート×医療の融合で、社会に貢献する

医療の発展に必要なイラスト
『モナ・リザ』を描いたレオナルド・ダ・ヴィンチは、多くの発明を残した科学者でもあります。もしも彼の発明に絵が添えられていなかったら、文字だけで内容をイメージすることができたでしょうか。複雑な情報を正確に伝えたいとき、イラストは重要な役割を果たします。
医学書や医学論文では、写真ではなく抽象化されたイラストこそが必要な場面があります。これを「メディカルイラストレーション」といい、医学や医療の発展に貢献しています。体の内部は複雑で、医学の知識がないと正確に描くことはできません。アメリカではメディカルスクール(医学部)の名門ジョンズホプキンス大学で、今から100年以上前に教育がスタートしましたが、日本ではまだ認知度が低く、描き手が不足しています。
命に向き合うデザイン
病院で広報やデザインを担う「ホスピタルデザイン」という仕事の需要も増えています。具体的には、患者や家族の治療に対する疑問に答えて不安を和らげるためのリーフレットや動画、医療の思い違いを防ぐポスターを制作したりします。情報があふれている時代だからこそ、命や健康に関わる情報を多くの人に、正確に伝えるためには、デザインの力が不可欠です。災害時に取るべき行動を、障害のある人や外国人にもわかりやすく示した「災害対応ピクトグラム」の開発など、医療や福祉の知識に基づいたデザインは社会のいたるところで必要とされています。
アートと医療との融合
メディカルイラストレーションやホスピタルデザインは、アートと医療を融合させた新しい学問です。造形、デザイン、CGなどを学ぶと同時に、基礎医学や福祉を学ぶことで、医師や看護師ともコミュニケーションが取れる専門知識を持ったイラストレーターやデザイナーへの道を開きました。これは、アートで社会に貢献する仕事です。しかも、医療に関する情報の多くは倫理的な問題からインターネット上に公開されていないため、AIには代わることができないのです。
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川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部 医療福祉デザイン学科 教授 横田 ヒロミツ 先生
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