講義No.15711 数学

Aが先か、Bが先か 順番がカギを握る非可換確率論

Aが先か、Bが先か 順番がカギを握る非可換確率論

確率から見えるもの

確率とは、ある出来事がどれくらい起こりやすいかを数で表したものです。コイン投げで表が出るか裏が出るか、サイコロでどの目が出るかといった身近な現象が、確率の基本です。1回ごとの予測ができなくても、同じ操作を何度も繰り返すと、結果には一定の傾向が現れます。「確率論」は、偶然に見える出来事をデータとして捉え、全体の流れや特徴を理解する学問です。天気予報やAIの判断など、確率の考え方は私たちの身の回りのさまざまな場面で活用されています。

順番を変えると結果が変わる

例えば、長方形は縦の長さと横の長さを掛けることで、その面積を求めることができます。ここで縦と横の長さの掛ける順番を変えたとしても、結果が変わることはありません。
しかし、世の中には順番を変えると結果が変わってしまう現象もあります。トランプを机の上に裏向きで置いたとします。まずトランプを机の上で時計回りに90度回転させ、手前の辺を軸に裏返す場合と、先に手前の辺を軸に裏返してから時計回りに90度回転させる場合では、最後に絵柄の向く方向が異なります。同じ「回転」と「裏返す」という操作でも、行う順番を入れ替えるだけで結果が変わるのです。このように、操作の順序によって結果が変わる性質は、数学では「非可換」と呼ばれます。

ミクロな世界を確率論的に考える

電子や光の粒子などを扱う非常に小さな世界では、性質を調べる順番によって結果が変わることがあります。例えば粒子の位置を測ってから運動量を測る場合と、その逆では測定結果が異なります。このような非可換な現象を理解するには、通常の確率論の枠組みだけでは十分でないことも知られています。そこで登場するのが「非可換確率論」です。非可換確率論は、順序が結果に影響するデータや現象を数学的に捉えるための理論であり、現実世界の複雑な振る舞いを理解するために有効な枠組みとして研究が進められています。

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先生情報 / 大学情報

北海道教育大学 教育学部 教員養成課程(旭川校) 准教授 植田 優基 先生

北海道教育大学 教育学部 教員養成課程(旭川校) 准教授 植田 優基 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

非可換確率論、基礎解析学、応用数学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校で学ぶ数学は、難しい問題を早く解くことが目標になりがちですが、本来の数学は「なぜそうなるのか」を考える学問です。すぐに答えが出なくても立ち止まり、考え続ける時間そのものに価値があります。そして、数学は計算力だけでなく、物事を整理して、わからないことと向き合う力を育ててくれます。それは将来、どんな分野に進んでも役立つ力です。もし数学の点数が思うように伸びなくても、興味を持って考え続ける姿勢があれば、数学に挑戦する道は開かれています。

先生への質問

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北海道教育大学は、北の大地北海道の主要都市(札幌、旭川、釧路、函館、岩見沢)にキャンパスを置く国内最大級の教育系大学です。教員の養成はもちろんのこと、国際地域や芸術とスポーツに特化した学科も有しており、所属する教員の研究分野は、教員養成をはじめとする大学教育に活きています。全国それぞれの地域にも教育系大学はありますが、大学生活の4年間を四季折々の美しい大自然に囲まれながら北海道で学んでみませんか。きっと充実した毎日が送れるはずです。「人が人を育てる」を合言葉に全力であなたをサポートします。