Aが先か、Bが先か 順番がカギを握る非可換確率論

確率から見えるもの
確率とは、ある出来事がどれくらい起こりやすいかを数で表したものです。コイン投げで表が出るか裏が出るか、サイコロでどの目が出るかといった身近な現象が、確率の基本です。1回ごとの予測ができなくても、同じ操作を何度も繰り返すと、結果には一定の傾向が現れます。「確率論」は、偶然に見える出来事をデータとして捉え、全体の流れや特徴を理解する学問です。天気予報やAIの判断など、確率の考え方は私たちの身の回りのさまざまな場面で活用されています。
順番を変えると結果が変わる
例えば、長方形は縦の長さと横の長さを掛けることで、その面積を求めることができます。ここで縦と横の長さの掛ける順番を変えたとしても、結果が変わることはありません。
しかし、世の中には順番を変えると結果が変わってしまう現象もあります。トランプを机の上に裏向きで置いたとします。まずトランプを机の上で時計回りに90度回転させ、手前の辺を軸に裏返す場合と、先に手前の辺を軸に裏返してから時計回りに90度回転させる場合では、最後に絵柄の向く方向が異なります。同じ「回転」と「裏返す」という操作でも、行う順番を入れ替えるだけで結果が変わるのです。このように、操作の順序によって結果が変わる性質は、数学では「非可換」と呼ばれます。
ミクロな世界を確率論的に考える
電子や光の粒子などを扱う非常に小さな世界では、性質を調べる順番によって結果が変わることがあります。例えば粒子の位置を測ってから運動量を測る場合と、その逆では測定結果が異なります。このような非可換な現象を理解するには、通常の確率論の枠組みだけでは十分でないことも知られています。そこで登場するのが「非可換確率論」です。非可換確率論は、順序が結果に影響するデータや現象を数学的に捉えるための理論であり、現実世界の複雑な振る舞いを理解するために有効な枠組みとして研究が進められています。
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北海道教育大学 教育学部 教員養成課程(旭川校) 准教授 植田 優基 先生
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非可換確率論、基礎解析学、応用数学先生が目指すSDGs
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