国際協力は「力を貸すこと」 世界の多様性と向き合う

協力とは何か
国際協力と聞くと、途上国に物資を送ったり、道路や建物を造ったりする場面を想像するかもしれません。実は、国際協力で本当に向き合うべきは、そこで生きている「人」です。「協力」という言葉に「力」がたくさんあるように、協力とは、相手が必要としている力を見極めて、その足りない力を補うことです。ただ一緒に何かをすることではありません。技術や知識を持つ人がそれを必要としている人に力を貸す、それが国際協力の本質です。
極限状態で人の力が見える
国際協力に使える資金が限られる今、少ない資金で大きな効果を生むには、人材育成が欠かせません。人に焦点を当てた国際協力では、一人一人のどんな力を伸ばすべきかを見極めることが重要です。開発途上国の現場では、想像を超える困難に直面します。例えば、あるネパールでのフィールド訪問では、目的地への途上、土砂崩れで道路が通れず、本来5時間で行けるところを13時間かかりました。国際協力の現場では、電気もインターネットも使えない中、「この状況で、どう動くか」を現地の人たちと考えます。そんな極限状態では頭脳や包容力といった本当の力が見えてきます。次のリーダーになれる人材は、こうした場面で見極められるのです。
一人一人のニーズに応える
見極めた人材を育てる上で重要なのが、一人一人のニーズに応えることです。前述のネパールのフィールドでは、コロナ禍でネパールから引き揚げる際、ネパール人のプロジェクト先の教員にやってみたいことを尋ねると、「国際会議で論文を発表したい」という声が返ってきました。そこで遠隔で論文指導を行い、研究をまとめ、発表の場につなげることで、途切れることなく人材育成支援は続けられました。
大切なのは、「こちらができること」ではなく、「相手が望むこと」から協力を考える姿勢です。国際協力の現場で向き合うのは、私たちと同じように前に進もうとする一人一人の人間です。その人が今、どんな力を必要としているのかを見極めて力を貸す、それが国際協力の形なのです。
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先生情報 / 大学情報

北海道教育大学 教育学部 国際地域学科(函館校) 准教授 津曲 真樹 先生
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国際協力論、国際開発学、国際関係学先生への質問
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