ビッグデータ時代を乗りこなす新しい統計学をつくる!

ビッグデータ時代を乗りこなす新しい統計学をつくる!

情報化の時代に求められる統計

情報技術の進歩により、さまざまな分野で大量の情報が蓄積される時代になりました。SNSのつながりの情報や、買い物をしたときに商品や価格、買った日時などが記録されるPOSデータなどもその例です。こうした「ビッグデータ」の分析には、従来の統計学や計量経済学では対応できません。従来の統計学や計量経済学は、はるかに少ない数のデータを対象としているためです。そこで、ビッグデータを扱えるような新しい統計学が求められています。

ビッグデータから得る新しい知見

データ分析の方法には、「検証的データ分析」と「探索的データ分析」の2つがあります。検証的データ分析とは、まず各分野の理論(モデル)があり、それを検証するのに適切なデータを持ってきて、理論の妥当性を見るというものです。従来の統計学はこの検証的データ分析を目的としています。これに対して探索的データ分析とは、まずビッグデータがあって、そこからデータ同士の関係性などを調べ、新しい理論を見つけ出していくものです。これからの時代は、探索的データ分析がより重要になっていくと考えられ、探索的データ分析の手法の開発が進められています。

大量のデータから重要なものを選ぶ

探索的データ分析の一つに、大量のデータの中から目的にかなった変数をいかに選び出すかという「変数選択の問題」があります。変数選択の問題では、「不要なものを選んでしまう誤り(偽発見)」と「重要なものを選ばない誤り」が考えられますが、この二つは同時にコントロールできません。そこで偽発見の確率をできるだけ低く抑えつつ、正しいものが選べるような手法を作っていきます。
経済データなど実社会のデータは、そのときに実際に集められた1セットしかなく、自然科学のように実験をやり直すようなことができません。そのため、あるデータセットから得られた探索的データ分析の結果については、数学的な証明を用いて、それが妥当であるかを理論的に保証しています。

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先生情報 / 大学情報

一橋大学 ソーシャル・データサイエンス学部 ソーシャル・データサイエンス学科 准教授 植松 良公 先生

一橋大学 ソーシャル・データサイエンス学部 ソーシャル・データサイエンス学科 准教授 植松 良公 先生

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統計学、高次元データ分析

メッセージ

大学に進学するためには何らかの目標を持つべきだという考えがありますが、私は必ずしもそうは思いません。すでに目標がある人はそれに向かって進むとよいですが、なければないで構わないのです。無我夢中で勉強すれば、いつの間にか視点が高くなって、見える世界が何万倍にも広がっていることに気づく瞬間があります。こうした経験は大事です。また「学力よりコミュ力」といわれることもありますが、学力はコミュニケーション能力の一つなので、そういう意味でも一生懸命勉強に取り組んでほしいです。

一橋大学に関心を持ったあなたは

一橋大学の大きな特色として、まず第1に挙げられるのは、我が国で最も伝統のある社会科学の総合大学として、常に学界をリードしてきたという長い歴史と実績、並びにこの伝統を受け継ぎ、人文科学を含む広い分野で、新しい問題領域の開拓と解明を推進する豊富な教授陣に恵まれていることです。第2は、商学部・経済学部・法学部・社会学部の垣根が低く、学生は各学部の開設科目を自由に履修することができます。また、10人から15人程度の少人数で行われているゼミナール制度(必修)を核とする少数精鋭教育も本学の特色のひとつです。