分子を繰って光を作る 光る有機化合物の世界

光る有機化合物
材料としての有機化合物の魅力は、炭素や水素など、地球上に豊富に存在する元素から作られるため、資源的制約が小さいことです。さらに、最新の有機合成技術を使えば、一つ一つの分子の構造を精密に設計・制御できるため、「こんな機能が欲しい」という目標に向けて、綿密に化合物を作り上げることができます。中でも、「π共役系」という構造を持つ化合物は、紫外-可視-近赤外光の吸収・発光が可能であり、多様な用途への応用が期待されています。
固体で光らせるには?
多くのπ共役化合物は、溶液中では美しく発光する一方、固体にすると光りづらくなります。これは、対称的で平面性が高い構造の分子が積層し、消光してしまうためです。そこで、分子の対称性を崩し、分子同士の相互作用を制御することで、固体状態でも発光する化合物の設計が進められています。
固体発光の中でも、白色発光は照明をはじめ幅広い用途に使われています。従来研究では、固体化合物で白色光を得るには複数の化合物を混合する手法が主でしたが、それぞれの化合物の劣化速度が異なるため、時間とともに色調が変化してしまうという問題があります。この問題解決には、単一化合物での白色発光の実現が重要となります。そんな中、固体状態で青色と黄色の蛍光を同時に発することで、単一で白色発光を示す分子の合成が成功しました。
つぶすと色が変わる
π共役分子には「メカノクロミズム」という現象が見られる化合物があります。これは結晶に力を加えてつぶすと発光色が変化する現象で、例えば黄緑色に光っていた結晶が、つぶすとオレンジ色に発光色が変わります。また、つぶした固体を溶媒蒸気にさらしたり、加熱したりすることで、発光色がつぶす前に戻ることもあります。発光色によってさまざまな外的要因を可視化できるこの現象は、化学センサーなどへの応用が期待できます。現在も、さまざまな発光色を示すだけでなく、温度などによってその発光色を精密に制御できる、より高機能なメカノクロミック材料の開発が進んでいます。
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