屋外でも使えるデバイスを! 熱電材料でIoT社会に貢献

熱エネルギーを電気に変換する「熱電変換材料」
半導体材料の両端を違う温度にすると電気が発生します。温度が高いところの電子は活発に動き、低いところは不活発という差が、電子の流れを生み出すのです。このように温度差によって電力を生み出せる材料を「熱電変換材料」と言います。
これまでよく知られている熱電材料にはビスマス(Bi)とテルル(Te)からなる化合物がありますが、いずれも希少な材料で、かつ重金属で毒性があるため、それに代わる熱電材料の開発が急がれています。なぜなら、IoT(モノのインターネット)の普及で、屋外センサなどでデータを取る需要が増えており、電源がなくても環境中の熱を電気に変換する技術が必要とされているからです。
気化熱で温度差を生み出す
熱電変換材料は、電気は流れやすく、熱は通しにくい性質が必要です。その性質を満たすものとして注目されているのは、カーボンナノチューブ(CNT)をナノレベルの薄い膜にした「CNT膜」です。
CNT膜は紙のように繊維が絡み合った構造です。一部に穴の開いた特殊なプラスチックにCNT膜を貼り付け、水に浮かべます。すると穴からCNT繊維のすきまに入った水が蒸発して、気化熱で温度差が発生するという仕組みです。これは実際に電気が発生することが実験で確認されています。
電力を上げて実用化をめざす
ただ、今の段階ではデバイスを動かすほどの電力には至っていないため、さらなる研究が進められています。その一つは、水をはじきやすいCNT膜に、水を保持しやすい親水性の物質を混ぜ込む方法です。気化の量が増えて、得られる電力が上がるのです。また、この仕組みをできるだけ小さく作って、同じスペースにたくさん集積し、電力を増やす方法も研究中です。
CNT膜は炭素のみで出来ているため、安価に入手しやすく、柔軟性もあることから、IoT機器用の熱電変換材料として大いに期待されています。
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