戦争の国から成長の国へ ベトナム経済発展の秘密

戦争の荒廃から経済発展へ
1955年から1975年という長きにわたり、ベトナムは戦火の中にありました。その被害は深刻で、枯葉剤と呼ばれる化学兵器の爪痕も深く長く残ります。それにもかかわらず、1986年のドイモイ改革以降、ベトナムはめざましい経済成長を遂げてきました。
戦争やコロナ禍のような大きな打撃を受けても、経済が素早く持ち直す力を「レジリエンス(回復力)」と言います。同様の危機に直面してもなかなか回復できない国々と比較すると、ベトナムのレジリエンスは際立っています。
経済発展を支える農村
ベトナムの特徴の一つは、経済発展が進んだ現在でも、都市への人口集中が進まず、人口の約6割が農村に住んでいることです。現在も、都市で働く人の多くが農村から通勤しています。農村内の仕事も、農業だけでなく、農村内に開発された工業団地で働いたり、観光や手工業に関わったりと、多様な広がりを見せています。ベトナム社会の特徴やレジリエンスの源泉を読み解くには、この農村の経済活動の発展を詳しく調べることが必要です。
経済成長を生み出す力
そこで、19世紀から20世紀前半に及んだフランスの植民地期にさかのぼり、長期の米価格データが統計的に分析されました。また、当時の市場競争の実態を実証しながら、文献資料と組み合わせた研究が実施されました。その結果、ベトナムの農業輸出の柱である米とコーヒー豆の生産構造は、植民地期に基礎が築かれたことがわかりました。ベトナムは世界第3位の米輸出国、第2位のコーヒー輸出国ですが、その基盤の多くは、植民地期にまでさかのぼることができるのです。
植民地支配、戦争、社会主義政策と、時代ごとに大きな変動がありながらも、その基盤を大切に守り続けてきました。加えて、常に経済発展を追い求める起業家精神を持った人々が、環境に適応しながら経済を前へ進め続けてきた姿も見えてきました。この人的資源の連続性こそが、ベトナム経済の強さの根源ではないかとみられています。
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東海大学 政治経済学部 経済学科 教授 高橋 塁 先生
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