AIを活用して体細胞を別の細胞に変換! 進化を続ける再生医療

iPS細胞を経ずに細胞を直接分化
解析技術の進歩により、DNAやRNA、タンパク質などの生体分子の膨大なデータが取得・蓄積できるようになりました。「マルチオミクスデータ」と呼ばれるこれら生体分子のビッグデータと情報科学技術を活用し、細胞を使った治療法や画像診断、AI創薬といった新しい医療技術の開発が行われています。
現在、再生医療分野ではiPS細胞を使った治療法の開発研究が主流です。例えば皮膚の細胞からiPS細胞を作り、そこから神経細胞など目的の細胞に分化させるというものです。これに対し、iPS細胞を経ずに元の細胞から目的の細胞に分化させる「ダイレクトリプログラミング」という新しい細胞作製法が、AIを使って研究されています。
AIを使って細胞作製法を開発
iPS細胞を介した細胞作製の場合、iPS細胞に変化させるための遺伝子や薬の導入が必要で、細胞にストレスがかかってしまうという課題があります。iPS細胞を経由しないダイレクトリプログラミングは、添加物を減らせるため、低ストレスでがん化のリスクも小さく、より速く安価に目的細胞を作ることができます。
多様な細胞からいろいろな細胞種を直接作り出す方法を探索するのに、活躍するのがAIです。機械学習のモデルを使うことで、細胞分化の方法を膨大な量のマルチオミクスデータから網羅的に予測することが可能です。モデルの精度を上げながら、すでに実験で見つかっている作製法の改良や、全く新しい作製法の開発が進められています。
「個別化医療」へ貢献
ダイレクトリプログラミングの技術は、このような再生医療のほかに、「個別化医療」にも貢献できると期待されています。薬の効果は個々人の体質によって異なるため、これまでは患者にしばらくの間、薬の服用を続けてもらい、どの薬が良いか、効果を確認していました。しかし、この新技術で患者の細胞を作製し、その細胞を使ってあらかじめ薬を試験(ドラッグスクリーニング)しておけば、すぐに最適な薬を提案することが可能になります。
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