「ありがとう」が生まれるクラスをつくる学級経営研究

人と良い関係をつくるために
学校の「クラス」は、勉強だけをする場ではありません。友だちとの関わりの中で心も成長する場です。その中で大切になるのが「配慮」と「思いやり」です。相手の気持ちを想像して行動することが、安心して過ごせるクラスの土台になります。友だちの話を最後まで聞く、遊びに誘う、みんなと円滑に話す、といった行動を「ソーシャルスキル」と呼びます。
ソーシャルスキルは特別な才能ではなく、経験で身につくものです。例えば国語の授業で隣の席の子と一文ずつ交互に読むだけでも、自然と相手に合わせてやり取りする経験になります。こうした積み重ねが、思いやりのある行動につながるのです。
ソーシャルスキルを使う動機は
ソーシャルスキルがせっかく育っても、小学校高学年になると、周囲の目を気にして、あえてそれを使わない子どもが増えてきます。研究から見えてきたのは、「人に関わりたい」という気分よりも、「大切なことだからやってみよう」と思えるかどうかが行動を左右するという点です。「大丈夫?」と声をかけて「ありがとう」と返ってくると、うれしくなってまたやってみようと思えます。こうした経験を重ねることで、行動の価値が実感として身についていきます。学級経営とは、配慮や思いやりが自然に広がる環境を育てることなのです。
人間関係を可視化していじめを防ぐ
ソーシャルスキルが高いと答える子でも、少人数グループの中だけで発揮しているケースがあります。特定の仲間に限られた関係では役割が固定化し、思いやりが広がりにくいものです。多様な人と関わる中でこそ相手を理解する力が育ちます。
ただし、子どもたちの関係性は見た目だけでは分かりません。そこで「社会ネットワーク分析」の手法を使って、人間関係の広がりや偏りを可視化する研究が進んでいます。孤立している子を早期に発見し、いじめ予防につなげることが目的です。
人と人の関わりは、見えにくいからこそ意識的に育てる必要があるのです。
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山口学芸大学 教育学部 教育学科 准教授 森 俊博 先生
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