持続可能な材料になるか? ノーベル賞を受賞した新たな多孔体

用途いろいろの多孔体
住居などのにおいの除去には、活性炭が使われることがあります。活性炭が持つたくさんの小さな穴には、においのもととなる分子を吸着する機能があるからです。こうした小さな穴を数多く持つ材料は「多孔体」と呼ばれます。多孔体は穴のサイズや形によって、吸着できる分子が変わります。特定の分子だけを吸着させることができれば、例えば空気中から温室効果ガスだけを分離させるなどの応用が可能です。
吸着したい分子に適した多孔体を作るため、有機分子と金属イオンをブロックのように組み合わせた「多孔性金属錯体(MOF)」の開発が進められています。2025年には日本人を含むMOF研究者たちがノーベル化学賞を受賞し、注目度が高まりました。
MOFの再利用をめざして
新たなMOFが次々と開発される一方で、使い終わったMOFをどうするのか、という課題も浮上しています。MOFは何度も使って性能が落ちるとそれを廃棄して、新しいMOFをイチから作ります。しかし、使用済みのMOFを材料に新たなMOFが作れるようになれば、環境にも優しい持続可能な素材になります。
構造変化のメカニズムを探る
再利用のためには、MOFの構造に手を加え、別の分子を吸着できる穴を持たせる必要があります。構造変化の鍵を握ると注目されたのが、金属イオンと有機分子のつなぎ目に生じることがある隙間で、「欠損」とも呼ばれます。この欠損があれば有機分子が動く余地が生まれるため、MOFを作り直しやすくなるはずとの仮説を立て、欠損の量が異なるMOFを数種類用意し、構造変化の起こりやすさが検証されました。実験の結果、やはり欠損がない状態では分子が動けないため変化が起きませんでした。一方で欠損が多くなりすぎると、MOFが壊れてしまい、結果、その中間の欠損量がちょうどいいと明らかになりました。しかしどのMOFを用いても適切な欠損量が同じかどうか、さらなる研究が必要です。
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