環境問題を解決する力を養う、持続可能な開発のための言語教育

持続可能な社会に必要な力
地球温暖化などの地球規模の問題に取り組むには、国を超えた相互理解と対話が必要です。言語教育はその力を育てる重要な手段であり、異なる文化や価値観を理解し、持続可能な社会のための意思決定力を養います。こうした考えから「持続可能な開発のための言語教育(Language Education for Sustainable Development-LESD)」という新しい分野が生まれました。従来のスコア重視の英語教育とは異なり、LESDでは環境課題を通じてクリティカルシンキングと対話力を育てることを目指します。
模擬国連で学ぶ地球規模の課題
この新しい教育アプローチの実践例として、「模擬国連プロジェクト」があります。学生たちはバヌアツやマダガスカル、ハンガリーなど実在する国の模擬代表となり、エコツーリズムといった具体的な環境問題をテーマに英語で議論します。200名近い学生が他国の参加者と共に、3日間の英語による国際会議を体験します。
学生たちは担当する国の文化的背景や経済状況を深く理解し、その上で環境問題の解決策を提案する必要があります。このプロセスを通じて、単なる語学力ではなく、多文化理解力やクリティカルシンキングが総合的に育成されるのです。
行動につながる思考を育てる
環境問題に関する教育では、知識を得るだけでなく、それを自分の行動につなげる力を育むことが求められます。たとえば、将来の住まいやエネルギーの選択が地球環境にどんな影響を与えるかを考え、より良い選択ができるようにすることが目標とされます。
その教育効果を検証するために、学生の卒業後2年間の行動を追跡調査する計画が進められています。大学教育が学生の価値観形成や行動変容に与える長期的影響を科学的に検証する点で、教育効果測定の新たなモデルケースとなるものです。
参考資料
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甲南大学 マネジメント創造学部 准教授 ジョーダン ジョシュワ ジョン 先生
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外国語教育、環境政策、環境配慮型社会先生が目指すSDGs
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