月の南極に水はあるか? 月や火星で暮らす夢に向けた探査計画

月の南極に水はあるか? 月や火星で暮らす夢に向けた探査計画

月に眠る水を求めて

月の南極域には、太陽光が一度も届かない「永久影」と呼ばれる場所があります。極低温が保たれるこの場所には、周回衛星の観測から、水(氷)が存在する可能性が示されています。しかし、本当に水があるのか、どのくらいの深さにどれほどの量があるのかについては諸説あり、実際に現地で調べなければわかりません。
その答えを求めて、月面を調査する探査ローバーを送り込む「月極域探査機(LUPEX【呼称:ルペックス】)」プロジェクトが進められています。インドと日本の共同プロジェクトで、着陸機をインドが、ローバーを日本が担当し、日本のH3ロケットによる2028年度の打ち上げをめざしています。

地球の常識は通用しない

LUPEXでは、走りながらセンサで水がありそうな場所を絞り込む「粗観測」と、ドリルで掘削して砂を採取・分析する「詳細観測」の二段階で探査が行われます。ローバーの足回りには、細かい砂でも空転せずに急斜面を登れるクローラ機構を採用しています。地球での掘削では、水を使って砂の排出を促しながら掘り進めますが、月面では水を使用できないため、乾燥した状態でも効率よく掘削する必要があります。ローバーに搭載して、その場で砂に含まれる微小な水の量を高精度で測定できる分析装置の開発も進められています。このように、「走る・掘る・測る」というすべてのプロセスで、月に合わせた工夫が必要です。

火星探査への基盤にも

この探査計画は、人が月で暮らすための事前調査でもあります。月に利用可能な水が存在するかどうかは、将来の有人月面活動にとって非常に重要です。十分な量の水が見つかれば、水の電気分解によって酸素と水素を生成し、宇宙飛行士の呼吸に必要な酸素や、月面からの有人離着陸機の燃料として利用できます。さらに、探査によって実証される、走行・掘削・月の夜を越える(越夜)といった技術は、その先の火星探査の基盤にもつながります。LUPEXは、人類が月や火星へと活動領域を広げていく未来に向けた第一歩なのです。

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先生情報 / 大学情報

JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構) 有人宇宙技術部門 月極域探査機(LUPEX)プロジェクトチーム 主任研究開発員 須藤 真琢 先生

JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構) 有人宇宙技術部門 月極域探査機(LUPEX)プロジェクトチーム 主任研究開発員 須藤 真琢 先生

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航空宇宙工学

メッセージ

LUPEXプロジェクトは、これまでの「月の探査」から「月の利用」へと向かう、大きなターニングポイントとなるミッションです。現在、ローバーの開発が進められているこのプロジェクトの成果が実を結ぶのは2030年代で、それは、あなたが社会に出る時期と重なります。その頃には、月面基地の建設などの取り組みが本格的に加速するフェーズに入っていると考えられます。ぜひLUPEXに注目し、その先に広がる月面利用・開発の世界に関心を持ってください。そして、いつか一緒にこの挑戦に取り組めることを楽しみにしています。

JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)に関心を持ったあなたは

JAXAは月・惑星探査に力を入れています。
現在は2030年のアルテミス計画(有人での月面着陸と探査)に向け全力で取り組んでいます。