月や火星で暮らす未来へ 国際協力で進む宇宙探査

宇宙探査における技術課題
月や火星に人が滞在することをめざして、持続的な宇宙探査活動の検討を進めています。月や火星では重力や環境が地球とは異なるため、地球上とは違う技術的な課題がたくさんあります。例えば、月は地球の約1/6の重力であり、ほとんど大気がありません。そういった場所に人が滞在するために、まずは探査機によってどのような環境か詳しい情報を取得し、拠点をどこに作るか、水や電力をどう確保するか、人や物資をどう運ぶかといった課題を一つ一つ解決していくのです。
月面環境への技術的対応
例えば、月の1日は地球の約27倍であり夜が長く続くため、夜の間は宇宙での発電に通常使用する太陽光発電が行えません。そこで再生型燃料電池という燃料電池と水電解を組み合わせたシステムによって発電・エネルギーの貯蔵・再利用する技術や、月面で水資源を活用するためのプラント等が必要です。再生型燃料電池やプラントは、地上では大きな設備が主流ですが、月に輸送するために小型軽量化することが課題の一つです。さらに月面での自律的な探査活動には、地球のGPSのような測位システムが必要です。月の周りに複数の衛星を配置し、探査機や将来の居住者が自分の位置を正確に把握し自動走行等を可能とする構想が進められています。
国際協力による月面探査活動
米国主導の国際協力の下で進められる、月面での持続的な有人探査活動を目的としたアルテミス計画に日本は参画しています。この計画の中で日本は有人与圧ローバーの開発を担うこととなっており、2031年打上げをめざして開発を進めています。また、月面探査活動のためにインフラの構築が必要であり、国際協力による月の通信・測位システムや、水資源を活用するためのプラント等の研究開発を進めています。宇宙機の開発を進めるためには、国際協力だけではなく国内の企業等と連携して日本の強みを生かした技術を活用することが必要です。様々な連携体制や開発に必要となる技術を取りまとめ、プロジェクトを成功に導くのも重要な仕事なのです。
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