AIには、草も刈れないし月面も掘れない?

フィジカルAIに必要な「ものづくり」
文章を書いたり、イラストを作成したり、AIはコンピュータ上でさまざまな作業をこなしてくれます。ところが、実空間になるとAIは途端に無力になります。AIに「草を刈って」と頼んでも無理な話です。
そこで、AIにロボットの身体を与えて実空間でも行動できるようにしたのが「フィジカルAI」です。フィジカルAIは、人によく似たヒューマノイド型ロボットがよく使われますが、人型であることが常に最適とは限りません。「困りごと」の解決に適した形状・機構のハードウェアを、ロボット工学の技術を駆使して製作する「ものづくり」が重要です。
草刈りロボットの最適な形とは?
例えば、草刈りをするロボットはどのような形状が良いでしょうか。一般的によく使われている、高速回転する刃のついた刈払機が自律的に動くのは危険なので、バリカン型の草刈りロボットが開発されています。また、刈った草を回収しなくても済むように、いくつもの刃が付いた軸を高速回転させて草を粉々にするフレイル型の草刈りロボットも開発されています。いずれもAIが搭載され、カメラでとらえた草の状態から動きの強弱を制御して電力の消費を抑えるなど、実用化に向けた改良が進められています。
宇宙開発にもロボットが大活躍
将来人類が月面に進出したときに、建物の基礎杭を打つための穴を掘る月面掘削ロボットが研究されています。月の表面はレゴリスと呼ばれるサラサラの砂地で、掘ろうとしてもアリ地獄のように砂に埋もれてしまいます。そこでロボットの周囲に、先端から後方に向かって複数のクローラを取り付け、前から後ろへ動かすことで、ボディを砂に押さえ付けられても掘り進められる構造が考案されました。先端も通常のドリルではなく、抵抗の少ない羽根の形状とするなど工夫されています。
この月面掘削ロボットにもAIの搭載が検討されています。人が細かく調節しなくても、センサで得た砂の情報を基に適切な動作を判断し、掘り進める仕組みの開発が目標とされています。
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桃山学院大学 工学部 工学科 教授 岩野 優樹 先生
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