月の砂から水をつくる? 月面プラント構想の最前線

月の砂から水をつくる? 月面プラント構想の最前線

月で暮らすには

人類は現在、月での長期間の活動をめざしています。課題は、生活に必要な物資の確保です。人が月で暮らすには多くの物資が必要ですが、すべてを地球から運ぶのは現実的ではありません。そこで注目されているのが、月の資源を利用する方法です。近年、月には水が存在する可能性が高いことがわかってきました。もしその水を取り出せれば、飲み水としての利用だけでなく、水を分解して酸素や水素を作ることもできます。そんな未来を実現するために進められているのが、月の水を抽出し、有用な物質へ変換する「月面プラント」の研究です。

装置の検証にハードル

しかし、月は地球と環境が大きく異なるため、実現は簡単ではありません。重力は地球の6分の1ほどしかなく、周囲はほぼ真空です。地球では問題なく動く装置でも、月では同じように動かない可能性があります。例えば、地球では、重力を利用して液体や気体を分離する装置が多く使われていますが、重力が弱い月では、うまく分離できないかもしれません。
そこで重要になるのがシミュレーションです。ただし、計算結果は実際の月での現象と一致していると確認できなければ信頼できないため、本来は実験による検証が必要になります。一方で、月で実験すること自体が難しいため、「どこまでを実験で確かめ、どこからを計算で補うのか」を見極めることが大きな課題になっています。

月面プラント構想の現在地

現在は、地上で実証装置をつくる検討が進められています。特に、月の砂にわずかに含まれていると考えられる水を抽出できるのかを調べている段階です。この研究にはプラント工学を専門とする企業なども参加し、地上プラントの知見と宇宙開発の技術を組み合わせて進められています。2030年代には、月面で動かす小規模なパイロットプラントの建設も構想されています。月資源利用はSFではなく、現実の工学研究として進んでいるのです。そして将来の実現には、技術だけでなく、法学・倫理・国際関係・歴史などの人文社会分野との連携も欠かせません。

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先生情報 / 大学情報

JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構) 国際宇宙探査センター宇宙探査システム技術ユニット  主任研究開発員 目黒 裕章 先生

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メッセージ

あなたの得意を磨き、スペシャリストになることが将来の可能性を広げます。そのために大切なのは、「なぜそうなるのか」と本質を考える習慣を身につけることです。私自身、宇宙とは無関係の分野を深く考え抜いた経験が、後に宇宙研究へとつながりました。今の学びも、どこで生きるかはわかりません。だからこそ、覚えるだけで終わらせず、本質を考えながら学び続け、その力をあなたの強みにしてほしいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

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JAXAは月・惑星探査に力を入れています。
現在は2030年のアルテミス計画(有人での月面着陸と探査)に向け全力で取り組んでいます。