
データを駆使し、科学的観点から経営に役立てられる人材を輩出
企業や組織ではデータを使って経営に役立つ分析を行う人材が求められています。しかし、AIが「健康になりたければ病院を減らせ」というおかしな結果を出して話題になったように、データを分析できてもその意味を考えられなければ経営の役には立ちません。
神戸大学経営学部では、優れた教授陣による日本トップレベルの経営学研究の知見に基づき、データの意味を捉え、データを用いて経営理論を検証し、その検証結果から実践的示唆を導き出すことができる人材を育てる特別学修プログラムを立ち上げました。

「神戸経営データ科学特別学修プログラム(DSP)」とは
学部生向けの学部DSPでは、経営学の科学的アプローチに基づくデータ分析に必要な能力を身につけます。
1.データ分析能力
データの特性を理解し、意味を読み取り、統計学・データサイエンス等の分析手法を使って分析し、結果を出す能力。
2.データ解釈能力
経営学の知識に基づき結果を解釈し、経営意思決定のための実践的示唆を導く能力。
(1)整備されたデータの可能な形に加工
(2)基本統計を示しデータの意味を理解
(3)基礎的な分析(回帰分析等)を実施
(4)統計的推論に基づき分析結果を解釈
(5)経営学の基本的な理論(仮説)を検証・判断
(6)科学的根拠を持つ実践的示唆を提示
■学部DSPの履修・修了について
学部DSPは、特定科目の履修を次の科目の履修条件として積み上げ式に必要な科目を履修していきます。その結果、必要な科目を履修できれば修了とするプログラムです。修了要件を満たした学生には認定証を発行します。
大学院に接続した5年一貫DSPも
本格的な経営データ分析を行うには、さらに高度な以下の能力も必要です。
3.課題設定能力
経営学の知識に基づき、解明すべき課題を自ら設定する能力。
4.データ整備能力
多様なデータを自ら収集・整理し、分析可能な形に整備できる能力。
こうした能力を身につけるため、学部DSP修了者は大学院プログラム(修士DSP)で学修を続けることができます。特に優秀な学生には、学部早期卒業と大学院(修士)早期修了教育を組み合わせた5年一貫経営データ分析特別学修プログラム(5年一貫DSP)も始まります。
神戸大学経営学部の看板プログラム
学部DSPは、以下の2つのプログラムと並ぶ、神戸大学経営学部の看板プログラムです(同時履修可能)。
KIBERプログラム
世界各地の有名協定校で、語学ではなく英語で経営学を学び、国際社会と文化を理解した、グローバルな社会環境で活躍できる経営人材を育成する海外留学プログラムです(1年間の留学を経て4年間で卒業可能)。
会計プロフェッショナル育成プログラム
会計に関する専門職である会計士・税理士を目指す学生向けの、会計関連科目を体系だって学修できるプログラムです。
DSPの科目例
■経営データ分析(入門演習)(学部DSP、2年次前期):「経営統計」で学ぶ統計理論を復習し、統計ソフトRを用いて統計分析を行う実習。
■経営データ分析(経営管理、会計、ファイナンス、マーケティング)(学部DSP、2年次後期~3年次前期):Rを使ってデータを分析し経営学各分野の経営理論を検証し、結果に基づき実践的示唆を導くことを学ぶ実習。
■経営データ分析特殊研究(AIによるESG評価演習)(修士DSP、初年度後期):Pythonを使って企業情報を取得し、AIによる分析で企業のESG活動を評価する実習。
■経営データ分析特殊研究(テキストマイニング)(修士DSP、初年度後期):Pythonを使ってテキスト(文書)情報の分析を学び、実際のSNSデータを分析する実習。

博士(経済学)(大阪大学)。専門は金融・ファイナンス。銀行に関する研究を中心に、経済学のアプローチに基づく理論・実証分析を行う。著書に『金融』(有斐閣、2024年)等。全国銀行学術研究振興財団賞受賞。日本金融学会・日本ファイナンス学会理事、国内外の学術雑誌編集委員、インディアナ大学(フルブライト研究員)・スタンフォード大学客員研究員等を務める。金融に関する講義、行政機関やソーシャルビジネスと連携したデザイン思考を活用したプロジェクト型授業(学部)や、DSPの授業(大学院)を担当。