ASEAN諸国の成長と日本との関わり
地域のパワーアップをめざすASEAN
ASEAN(東南アジア諸国連合)は、1967年に東南アジアの経済成長や政治的な問題解決のために設立されました。当初はタイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピンの5カ国でしたが、のちにブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアが加盟し10カ国で構成されています。21世紀に入りグローバル化の進展や中国・インドの台頭で、アジアは大きく変化しています。これに対応してASEANはヒト・モノ・カネが自由に移動できる経済共同体の構築をめざしています。域内で高度な分業を可能にし、地域全体で生産拠点としての魅力を高めるためです。
投資先として注目を浴びる新興メコン諸国
ASEAN諸国と日本の関係はますます広く、深くなっています。1980年代に工業化を遂げたASEAN4(タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン)や、1990年代に成長したベトナムにはすでに多くの日系企業が進出しています。現在は各国とも1500~4000社に及びます。近年は中国やASEAN先発国の賃金の高騰などの理由で、日本企業の進出先が分散しつつあります。カンボジア、ラオス、ミャンマーの新興メコン諸国が新規の投資先として魅力を高めています。またこれらの国はタイの日系企業が生産の一部を移管する「タイ・プラス・ワン」型の投資先としても注目されています。
Win-Win関係の日系企業とASEAN諸国
日系企業は海外進出の際、投資環境のさまざまな要素を比較、検討します。インフラ(経済基盤)や経済特区、賃金水準、労働力の質などです。その国の生活習慣や宗教上の特性も大切です。海外進出は日系企業の利益だけでなく、進出先のASEAN諸国、特に後発国の発展や人々の所得、生活の向上を重視する必要があります。Win-Win(両方に利益がある)関係にするということです。一層進むグローバル化の中で、仕事や生活に関わりが深まるASEAN諸国への視点が不可欠です。ASEANへの関心と理解を深めましょう。
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先生情報 / 大学情報
桃山学院大学 経済学部 経済学科 講師 内山 怜和 先生
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