世界の数学者たちを魅了する「リーマン幾何学」の世界
幾何学で読み解く曲面の世界
ロールプレイングゲームの世界では、海上を進む船がマップの右端を超えると反対の左端から出てくるということが起こります。2次元で表現されているゲームの世界を現実に作ってみると、ドーナツのような形になります。数学の分野ではこうした曲面の世界は幾何学を用いて解明されますが、1次元と2次元の世界を対象としていた幾何学を3次元、4次元、5次元……と、空間の次元を上げて研究するようになったのがリーマン幾何学です。リーマン幾何学の研究では、高校で習う微分積分をはじめとする総合的な数学力や、頭の中に絵を描きながら考えていく空間的思考力が問われます。そのベースとなるのは、論理的な思考力と、それを他者に「漏らさず、だぶらず」正確に伝える力です。
100年の難問を解いた天才数学者
長い歴史をもつ幾何学は、21世紀に入って大きな進歩を見せました。1904年にアンリ・ポアンカレというフランスの数学者が幾何学における多様体の形を研究する中で提唱した「ポアンカレ予想」が、約100年の時間を経て解決されたのです。「単連結な3次元閉多様体は3次元球面に同相である」という難解な定理を証明したのは、ロシアの天才数学者ペレルマンです。それまで挑戦してきた数学者たちが、主に位相幾何学を用いていたのに対して、ペレルマンは物理学やリーマン幾何学を用いるなど、独自のアプローチで偉業を成し遂げました。
世界の真理に迫るリーマン幾何学
ペレルマンは、数学界のノーベル賞と呼ばれる「フィールズ賞」や、数学上の未解決問題であるミレニアム懸賞問題を解くと送られる賞金100万ドルの受け取りを辞退したことでも知られており、ひたすらに数学の世界に没頭してきました。また、彼だけでなく世界中の数学者が、今日も解決されていない数々の難問に挑んでいます。アインシュタインの相対性理論にも応用され、宇宙の形やブラックホールの究明にも用いられるリーマン幾何学は、世界の真理に迫る魅力に満ちた学問といえます。
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先生情報 / 大学情報
大阪教育大学 教育学部 教育協働学科 理数情報部門 教授 町頭 義朗 先生
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リーマン幾何学、数学先生への質問
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