講義No.15797 数学

マグカップとドーナツは同じ形、それが4次元になると?

マグカップとドーナツは同じ形、それが4次元になると?

トポロジーで図形をとらえると

マグカップとドーナツはまったく違う形に見えますが、数学の「トポロジー」という学問では、この二つは同じ形と考えます。トポロジーでは、図形をぐにゃぐにゃと連続的に変形できるなら同じ形と見なすからです。マグカップの本体を縮めていくと、取っ手の穴が残り、ドーナツのような形に変形できます。つまり、この二つは「穴が一つある形」という点で共通しています。このように、見た目ではなく「穴の数」など形の本質的な特徴に注目して図形を考えるのがトポロジーという学問です。高校までに学ぶ図形とは少し違う視点から形をとらえる数学の分野と言えます。

4次元の図形を研究する

トポロジーの中でも、特に研究が盛んな分野の一つが「4次元トポロジー」です。4次元と聞くと想像が難しく感じられますが、数学では次元は自由に拡張して考えることができます。3次元の立体を考えるのと同じように、4次元の図形についても理論的に研究することが可能です。特に4次元の図形には、ほかの次元にはあまり見られない独特の性質があります。例えば、連続的な変形では同じ図形と見なせるのに、より厳密な基準で見ると同じとは言えない場合が現れます。このような現象が豊富に現れることが、4次元の世界の大きな特徴であり、多くの数学者が研究対象としている理由の一つです。

4次元を図で表現

私たちは4次元の図形を直接見ることができませんが、4次元トポロジーでは、図を使ってそれらを間接的に表す方法が用いられます。例えば、4次元の図形を単純な部品に分解し、その情報を絡み合った結び目(閉じて輪になったひも)の集まりとして図に表すことで、目に見えない4次元の図形を数学的に研究できます。こうした図やその変形と、そこから得られる手がかりをもとに理論を組み立てながら、4次元の世界の構造を少しずつ明らかにしていくのです。私たちが普段学ぶ図形とは違う視点から形を考えることで、数学の新しい面白さが見えてきます。

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先生情報 / 大学情報

大阪大学 大学院情報科学研究科 情報基礎数学専攻 幾何解析学講座 准教授 安井 弘一 先生

大阪大学 大学院情報科学研究科 情報基礎数学専攻 幾何解析学講座 准教授 安井 弘一 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

4次元トポロジー、位相幾何学

メッセージ

大学で学ぶ学問は、高校までにイメージしていたものとは違って見えることもあります。例えば数学では、議論が厳密になりますし、数式をほとんど使わずに論理と図で行う研究もあります。高校までに触れる内容は、学問のほんの一部にすぎません。大学で出会う新しい側面に戸惑うこともあるかもしれませんが、それは自然なことで、むしろそうした経験が深い興味につながることもあります。一つの学問の中にもさまざまな分野があるので、視野を広く持ち、本当に面白いと思える分野を大学でぜひ探してみてください。

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自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。