売らないから売れる? 「白い恋人」の戦略

モノではなく「価値」を売る
マーケティングとは、モノを売る技術ではなく、「なぜそれが選ばれるのか」を解き明かす学問です。例えば水を買うとき、人は水そのものではなく、「喉の渇きを潤す」という価値を求めています。「ドリルを買う人が欲しいのは穴」という言葉の通り、重要なのは商品ではなく、その先にある目的や満足です。この発想を持つことで、何をどう売るべきかが大きく変わります。普段の何気ない買い物の中にも、実は高度なマーケティングの仕組みが隠れており、私たちは無意識のうちにその影響を受けながら選択をしています。
逆転の発想が特別感に
北海道土産の定番「白い恋人」は、あえて北海道でしか販売されていません。これこそが戦略です。どこでも買える商品ではなく、「ここでしか買えない」という特別感を価値として提供しているのです。観光客というターゲットに絞り込み、「北海道限定」というポジションを確立することで、ブランドの魅力と希少性を高めています。さらに、出張で訪れるビジネスマンが持ち帰りやすいよう、カバンに収まる薄く軽いパッケージが設計されている点にも、緻密なマーケティングが表れています。「売らないことで売れる」という逆転の発想に、知恵が凝縮されています。
社会を動かすマーケティングの力
マーケティングは企業の売上を伸ばすだけでなく、社会のあり方そのものにも影響を与えます。例えば、埋もれていた地域の特産品も、価値の伝え方次第で人気商品へと変わります。こうした考え方を実践するために、学生が地域産品のブランド化プロジェクトに取り組み、価格設定や販売方法を考えて、実際の店舗で販売する試みも行われています。
人口減少や地域経済の縮小が進む中、「価値をどう見せるか」は重要な課題です。今後は数多くのデータやデジタル技術と結びつき、より精密に人のニーズをとらえる時代へと進んでいきます。マーケティングは、人と社会をつなぎ、新しい価値を生み出す力として、さらに重要性を増していくでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
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