一人一人のこどもに合わせて、つくりあげていく小児看護

医療者が近づくだけでも、こどもは「こわい」
病院で「お熱を測りましょう」と言われて体温計を渡されたら、脇にはさんでじっとしておくことに疑問がないと思います。では1〜2歳のこどもの場合はどうでしょうか。初めての慣れない場所で、体温計という器具を持った看護師が近づくだけで「こわい」と感じたり、体温を測る間、じっとしていることは「いやだ」と思ったりします。看護師は、自身が安全な存在であることを示しながら、今から何をするのかをわかりやすい表現で説明するなど、こどもの様子や状況を見ながら進めます。小児看護では、看護技術だけでなく、こどもの発達段階やそのときの状況に合わせたさまざまな対応が求められます。一定の理解がある大人への看護とは異なる点と言えます。
方法を覚える、だけではない
小児看護技術を学ぶとき、「この年齢のこどもには、こう対応する」といった、一定の方法を覚えるだけでは不十分で、その技術を、目の前のこどもの状況にあわせて、よりふさわしい形にして実践すことが必要です。そのための有効な学習方法として「シミュレーション」があり、「適切な援助を計画する」思考と「援助を実践する」動きの双方を学びます。モデル人形を実際のこどもに見立てたロールプレイで、こどもにどのように近づくのか、名前はどう呼ぶのか、器具は何を選んでどのように使うのか、さらには、家族の協力を得るのかなど、多くの要素を組み合わせて、こどもの状態や発達段階に合わせた看護をつくっていきます。
現場で必要とされる「チーム」の動き
看護をするとき、こどもたちががどのような課題を持っているのか、それを解決するためにはどのような援助がよいのかなど、チームで話し合いながら、そのときの最適解を見つけながら進めていきます。年齢や発達段階、疾患や症状が幅広いこどもを対象とする小児看護には、このような力が一層求められます。リアルな現場を想定したシミュレーション学習においても、技術の習得だけでなく、チームで考え行動することを大切にしています。
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