手術中もリスク大! 手術室看護師が褥瘡予防のためにできること

手術中も発症する褥瘡
医療現場などでよく見られる症状の一つに、「褥瘡(じょくそう)」があります。これは、長時間同じ姿勢で寝たきりになることで、皮膚の一部が赤くなったり、ただれたりすることです。褥瘡を予防するのも看護師の仕事です。療養中に起こる問題と思われがちですが、実は手術中に起きることが多々あります。
手術中の患者は意識がなく、一定時間同じ姿勢になるため、圧迫される箇所が生じます。褥瘡が起きやすいのは、脊椎や骨盤といった骨が出ている部分です。6時間以上の手術で起きやすく、患者の体形などによっては3〜4時間の手術で起きるケースもあります。
看護理工学で予防法を検証
手術中の褥瘡を予防するには、手術中の体位、患者の体形、マットレスの素材や体圧分散率などを対象に、看護理工学の手法を用いて、MRIやエコーといった機器を用いて効果的な方法を調べます。病棟ではエアマットレスが褥瘡予防に有効とされますが、手術室は体位を安定させるため、ウレタンマットレスを使用します。反発の高低やウレタン内部などを検証し、最もよい構造を導き出します。一般に推奨されている手術中のマットレスがありますが、それより硬めのほうが皮膚のずれが少なく、予防に効果的なことがわかりました。
手術は、患者がうつぶせになるケースもあります。うつぶせは呼吸が苦しくなるため、胸部と腹部の4点で支えるマットレスを使うと、呼吸改善と褥瘡予防が期待できます。
最新技術にも対応
また、手術台を傾ける手術の場合、皮膚がずれて傷つくことがあります。術前にその部分をテーピングして、皮膚が傷つかないよう保護します。開腹手術、腹腔鏡(ふくくうきょう)手術、ロボットによる手術など、医療は進化していますから、それぞれに対応した方法を検証することも必要です。
手術室看護師は患者に適した環境を整えて、術中の全身を管理します。褥瘡を発症すると、患者の苦労が一つ増えてしまいます。手術以外の傷を与えない、手術時のリスクを考えることも看護なのです。
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