西洋経済史の魅力! 歴史から学ぶこと

西洋経済の力
現在の経済の理論やルールの多くは、西洋社会の歴史の中で培われてきたものを基準としています。近代的な銀行、株式会社といったことも、ヨーロッパの主要国でつくり出されたものです。日本を含む東洋にも長い歴史がありますが、多くの国・地域が西洋からの強い影響(いわゆる「ウエスタン・インパクト」)を受けて、自国経済の仕組みやルールを再考することを促され、組み直したのです。
産業革命と両大戦間期
18世紀後半のイギリスで起こった産業革命によって、西洋経済の影響力はさらに増大しました。機械の多投化により、一人当たりの富が増大し、継続的な経済成長の方向がはっきりしました。こうした経済力・工業力も背景に、ヨーロッパはさらに世界の中で影響力を強め、グローバル経済の結びつきも強まりました。
また、1920年代から30年代にかけての第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の時期も重要です。国際連盟に寄せられた期待と挫折、世界規模の大恐慌の発生、ヒトラーのような政治指導者の登場など、当時の社会には現代と共通する部分が多く存在します。
歴史から学ぶこと
私たち人間は多くのことを忘れる生き物ですが、一方でそれらを記録して思い出していくことも可能です。例えば、2019年以降のコロナ禍以前に、感染症によって世界経済に混乱がもたらされることを予測していた人はほとんどいませんでした。しかし、中世ヨーロッパの歴史をひも解けば、ペストがもたらした社会的・経済的な影響を知ることができます。同様に、多くの人は、局地的な戦争や紛争は別として世界中を巻き込む大戦をまだ身近にはとらえていませんが、歴史中にはあり、経済にも重大な影響を与えてきました。このように、現代を生きる上での気づきを与えることも、西洋経済史がもつ大切な役割なのです。
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東京都立大学経済経営学部 経済経営学科 准教授井澤 龍 先生
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