「自分で変わる力」を信じて、心の土壌を耕すカウンセリング

「自分で変わる力」を信じて、心の土壌を耕すカウンセリング

「困る」と「悩む」の違いって何だろう?

「困る」と「悩む」は違います。何が違うのでしょうか。目の前の不都合への対応がわからず、ただ戸惑っているだけなのが「困る」で、自己の言動を振り返ったり、葛藤しているのが「悩む」です。「困る」は途方に暮れて「心を使えていない」状態で、「悩む」は現状をどうしようか「心を使っている」状態とも言えます。悩むことは自分を成長させる機会になります。また「なぜ勉強するんだろう」と悩んだりする中で、勉強の意味を見い出すなど、行動の意味を見出せたりします。
ただ、悩みすぎはよくありません。カウンセリングでは、悩みを大切にし、共に悩みを抱えるように語りを聴いていくのです。

主体性を育むためには?

カウンセラーは、何か役に立つ助言をしたり、指導をしたりはしません。また叱ることもほめることもしません。外から何かをするのではなく、ひたすら話を聴き、内から変わっていくよう、心をこめて見守っていきます。
そうした姿勢は、植物を育てる時にも似ています。植物は無理に引っ張ったり、突っついたりして大きくはなるでしょうか? なりませんよね。そうではなく、適切な環境(豊かな土壌や水や日光)を整え、見守っていれば自ら伸びる力が発揮されていきます。カウンセリングでも同じです。しっかり話を聴き、相手が自ら考え、行動する動きや力を徹底的に尊重していくのです。

「怒り」ってダメなこと?

「怒りは良くないこと」って思いませんか? でもカウンセリングでは、怒りは変化の原動力(エネルギー)になるとポジティブにも捉えています。また怒りをしっかりと受け止めてもらう体験により、「本当に受け入れてもらった」という思いが得られ、他者を受け入れられるようにもなります。
確かに、怒りで人間関係を損なうなどネガティブな面もありますが、カウンセリングでしっかり受けとめてもらえることで、創造的な働きをするとも考えられます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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京都先端科学大学 人文学部 心理学科 教授 小山 智朗 先生

京都先端科学大学 人文学部 心理学科 教授 小山 智朗 先生

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心理臨床学

先生が目指すSDGs

メッセージ

心理学を学ぶことで、人の心の奥深さを知ることができます。毎日の暮らしの中でも、例えば映画の登場人物の心理をより深く理解できたり、共感力が上がることで優しくなれたり、人の役に立てることも多いんです。
だからといって、特に今は心理学の勉強をしておく必要はありません。それより、深く心を動かす体験をしておいてください。小説や映画に触れるのもいいですし、部活に打ち込む、友だちと深く付き合うといった経験を積み重ねて、心を耕して柔らかくしておいてくださいね。

京都先端科学大学に関心を持ったあなたは

本学は世界で活躍する「人財」を育てる5学部10学科の総合大学です。経済経営学部、人文学部、バイオ環境学部、健康医療学部、工学部、それぞれの学部でグローバル化する現代社会を生き抜く「未来を生み出すチカラ」を身につける教育を展開。専門性に加えて、多くの留学生が学ぶ「国際性が日常のキャンパス」で実践的な英語力を磨くとともに、多様性に適応するコミュニケーション能力、デジタル化に対処できるデジタルリテラシーを高めて、激動する社会に向かって自らを築き、世界レベルで活躍できる人材の輩出を目指しています。