肝臓にひそむ 「場違い脂肪」 超音波検査で病気を予防!

臓器の形だけではない
超音波(エコー)検査は、「やまびこ」と同じ原理を持ちます。人間の耳には聞こえない高い周波数の音を体の外から調べたい臓器にあてて、音波のはねかえりの程度により画像を構築しています。安全性が高く、痛みがないことが一番の特徴で、妊婦や乳幼児に対しても使われています。
技術が進歩して、臓器の形だけでなく硬さ、脂肪沈着の程度そして血流などもわかるようになりました。画像もどんどんきれいになり、臓器によっては数mmの小さな腫瘍を見つけることもできます。
脂肪肝はわかりにくい
人の体につく脂肪には、皮膚にたまる「皮下脂肪」、内臓のまわりにたまる「内臓脂肪」のほかに「異所性(いしょせい)脂肪」があります。本来は脂肪がつくはずのない肝臓や心臓、筋肉などにつく脂肪で、「場違い脂肪」とも呼ばれています。代表的な異所性脂肪が、肝臓に脂肪がたまった脂肪肝です。「脂肪肝→肝炎→肝硬変→肝臓がん」と病気が進むこともあるため、脂肪肝の早期発見・治療はとても大切です。ただし、皮膚をつまめばわかる皮下脂肪や、腹まわりが出てくる内臓脂肪と違って、異所性脂肪がたまっても体形は変わらず、症状もなく、わかりにくいのです。
脂肪肝は肥満や酒の飲みすぎが大きな原因ですが、やせている人や酒を飲まない人、若い人の脂肪肝も増えています。超音波検査は脂肪肝を見つけるのが得意なので、どんな人に、どんなタイミングで検査をすれば脂肪肝の早期発見・治療に役立つかについて研究が行われています。
病院以外の場所でも活躍
超音波検査装置はポケットサイズでタブレットやスマホにつないで使えるタイプもあり、救急、災害、訪問診療、スポーツなどの現場でも力を発揮しています。
ただ、現場でいろいろな人に使うと、超音波が臓器にうまく届かないなど測定が難しい人も出てきます。よりよい機器の開発のために、測定が難しいケースを集めて検証し、メーカーにフィードバックすることは、検査の専門家である臨床検査技師の重要な役割の1つです。
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